タコ・ウオノメ(魚の目)を靴下からととのえる方法を解説
- タコとウオノメ(魚の目)はどう違うのか
- タコとウオノメができる原因が知りたい
- タコとウオノメに悩まないための予防策や和らげ方を知りたい
足をじっくり見ていると、ところどころ硬くなり膨らんでいるようなところ・へこんで見えるような場所はありませんか。場所はどこであっても、皮膚が変形している部分はタコやウオノメが疑われます。「なぜかいつも靴下の同じ場所に穴があく」と悩んでいる方は、その穴の中にタコ・ウオノメが隠れていることが考えられます。
そこで今回は、タコ・ウオノメの基礎知識・それぞれの違いの確認・できてしまう理由を説明し、最後に靴下の選び方・歩き方の改善・筋トレによるタコとウオノメの対処法をお伝えします。
タコ・ウオノメ(魚の目)と靴下の関係を考える前に知っておきたいこと
タコ・ウオノメと靴下の関係を考える前に知っておきたいこととして、以下の3つを説明します。
- タコとは
- ウオノメとは
- タコとウオノメはどう違う?
1つずつ見ていきましょう。
タコとは
まず、タコとはどういった状況なのか解説をしていきます。
タコは皮膚病の一種で、医学用語では胼胝(べんち)と呼ばれています。長期間強い刺激を受けたことで皮膚の一部が硬くなっている状態です。皮膚が刺激から体を守るために角質を厚くする防御反応とも言えます。
よく「ペンダコ」という言葉を聞きます。これは、鉛筆をはじめとする筆記用具で字を書くとき、長期間同じような持ち方・同じ場所に圧を加えて書き続けることから指の一部分が硬くなる状態です。
ペンダコと同じように、足の裏にもタコができます。たとえばハイヒールを履く場合、足指のつけ根に体重がかかった状態が続きます。すると体重を受け止めていた部分の圧迫や摩擦で次第に硬くなりタコへと変化していきます。また、ハイヒールでできたタコの場合、足裏だけでなく親指の付け根の外側も硬くなる傾向があります。
ウオノメ(魚の目)とは
では、ウオノメとは何なのでしょうか。
ウオノメとは、タコと同様に皮膚病の一種で、医学用語では鶏眼(けいがん)と呼ばれています。手にもできますが多くの場合、足の裏にできます。
皮膚の表面が硬くなるのはタコと同じですが、ウオノメの場合、硬くなった皮膚がトゲのように皮膚の内側を刺激します。タコとは違い「芯」があるように感じるでしょう。足の裏にできた場合、歩くたびにその「トゲ」が神経を刺激し、痛みを感じるという特徴があります。
タコとウオノメ(魚の目)はどう違う?
それでは、タコとウオノメはどう違うのかを見ていきましょう。
タコとウオノメの違いは、刺激に対する皮膚の反応です。皮膚の一部分に繰り返し摩擦や圧迫を受けたとき、その部分を守ろうとして皮膚の表面が硬く厚く盛り上がるのがタコです。一方で、中央に硬い芯ができて皮膚の奥にくさび状にできていくのがウオノメです。
同じ場所で繰り返し刺激を受けることで、皮膚が角質を増やして体を守ろうとする防御反応が原因でできると言えます。
タコの場合は痛みはほとんどありません。しかし、ウオノメは芯が神経を刺激すると痛みを伴います。さらに患部をかばって歩くため、歩行姿勢が崩れることが考えられます。歩行のバランスが悪いと時間の経過とともに膝、腰、肩など、他の場所にも影響が出る可能性も否定できません。
タコ・ウオノメ(魚の目)と靴下の穴
ここまで、タコ・ウオノメがどういったものなのかを紹介してきました。
いつも靴下の同じ場所に穴が空くという方は、タコ・ウオノメが要因になっているかもしれません。
実は、そんなタコ・ウオノメは体からのサインであり、意外とあなどれない症状だといえるのです。
あなどれないタコとウオノメ(魚の目)
日本人に多いとされる「糖尿病」は、タコ・ウオノメなどの足病変(そくびょうへん)にも深い関係があります。
糖尿病の主な症状からいくつか取り上げてみましょう。
・抵抗力の低下 → 感染しやすい
・神経障害 → 傷ができても気がつきにくい
・血流障害 → 末端まで血液が流れにくく、傷が治りにくい
たとえば初期症状のひとつ、神経障害により足の感覚が鈍くなります。すると足にタコやウオノメができても痛みを感じないため、放置されることで悪化してしまいます。健康な人ならすぐに治るような傷であっても、糖尿病の人の場合はふさがりにくく、傷が細菌感染を起こして壊死(えし)してしまうこともあります。
最悪は切断しなければならなくなるケースも少なくありません。
糖尿病を専門にする病院には、「フットケア外来」という専門外来を設置しているほど、タコ・ウオノメの治療には慎重です。
元気なうちからタコのない健康な足でいたいですね。
その場所にタコ・ウオノメ(魚の目)ができるのにはワケがある
タコ・ウオノメがある場所は、靴下・ストッキングに穴が開きやすくなります。皮膚が硬くなっているため靴下・ストッキングと床や靴との摩擦が大きくなることが原因です。
タコ・ウオノメは、皮膚科やフットケアサロンで削るなどの処置ができます。しかしその場所に負荷(摩擦や圧力)がかかる原因がわからないまま対応せず、習慣を変えなければ、また同じ場所にできてしまう可能性があります。
まずは、タコやウオノメのできる場所から原因を考えてみましょう。
原因は以下の5つに分類されます。
1. 開張足(かいちょうそく)
2. 浮き指(うきゆび)
3. 外反母趾(がいはんぼし)
4. 内反小趾(ないはんしょうし)
5. ハンマートウ
1つずつ見ていきましょう。
【タコ・ウオノメ(魚の目)の位置と原因】
タコ・ウオノメができる位置と原因の一例です。
1. 開張足(かいちょうそく)
原因の1つ目は、 開張足(かいちょうそく)です。
足にはアーチ構造があり、3本のアーチが全体重を支えるとともにクッションの役割をしています。
しかし、足の親指から小指の付け根を結ぶ横のアーチが崩れると、足の付け根あたりの前足部が横に広がってしまいます。これを「開張足」と言います。
開張足になると前足部で衝撃を吸収できないため過度な圧力が加わり、荷重や摩擦によってタコ・ウオノメができやすくなってしまうのです。
なお、足のアーチについて以下のコラムで詳しく説明しています。
関連記事:その体の不調、実は「アーチの崩れ」が原因かも!? ~基礎知識編~
2. 浮き指(うきゆび)
原因の2つ目は、浮き指(うきゆび)です。
浮き指とは、足の指が浮いてしまい、地面に接地していない状態・また接地はしていても足の指をしっかりと使えていない状態をいいます。歩行時に足指がしっかり使えないため前足部に圧がかかりやすく、タコ・ウオノメの原因になります。
浮き指にはついて詳しくは以下のコラムで説明しています。
3. 外反母趾(がいはんぼし)
原因の3つ目は、外反母趾(がいはんぼし)です。
外反母趾(外反拇趾)は足の親指の関節が小指側に曲がっている状態をいいます。もとの骨の形だけでなく足のサイズに合わない靴を履き続けることで足指が圧迫されること、またそれによって正常な歩行ができない状態が続くことが要因と言われています。
外反母趾の影響で親指や人差し指が浮き指になると、歩行時に足裏の親指の付け根にある母趾球(ぼしきゅう)で蹴り出すことになることから、その部分にタコができやすくなります。
また、外反母趾の足には前述の開張足を伴っていることが多いのも、やはりタコ・ウオノメの原因となります。
外反母趾について詳しくは以下のコラムをご覧ください。
関連記事:外反母趾の意外な原因と靴下も含めた予防・緩和策を解説
4. 内反小趾(ないはんしょうし)
原因の4つ目は、内反小趾(ないはんしょうし)です。
内反小趾とは、足の小指が親指側に曲がっている状態です。外反母趾という言葉はよく聞きますが、内反小趾は聞き慣れないかもしれません。しかし、自覚していないだけで、多くの人が内反小趾の可能性があります。
外反母趾のような痛みを伴わないことが多く、放置されやすい症状です。しかし、内反小趾によって重心の位置が崩れて、膝痛・腰痛にもつながる可能性もあります。
女性の場合ストッキングを履くことで、小指が圧迫され内反小趾を起こしやすくなります。
そして小指の曲がった部分が靴に当たると、タコやウオノメができる場合があります。
5.ハンマートウ
長いあいだ足に合わない靴を履き続ける習慣が大きな原因と考えられ、足の人差し指、もしくは中指や薬指などの関節がZ字のような形に変形してしまいます。足指の上が靴に当たってしまうので、そこに摩擦が生じ、タコやウオノメができることがあります。
タコ・ウオノメ(魚の目)を予防・和らげるための習慣と靴下の選び方
ここでは、タコ・ウオノメを予防・和らげるための習慣と靴下の選び方という観点から、以下の3つを解説します。
・ペタペタ歩きの改善
・足の裏の筋トレ
・フットヘルスウェアとしての靴下の着用
1つずつ見ていきましょう。
ペタペタ歩きの改善
歩行の理想的な体重移動が「あおり運動」です。
タコ・ウオノメを予防・和らげるための習慣としては、1つ目にペタペタ歩きの改善があります。
足指の付け根にタコができやすい人は、歩く時に足をあまり上げず足裏全体を着けて歩く「ペタペタ歩き」になりがちです。ペタペタ歩きでは足の裏全体で着地することから足の指を使わないため、足の指の筋肉の衰えにつながります。
実は、歩くときには、理想的な体重移動があります。
まずかかとから着地し、足の外側に体重をかけ、親指から抜けるように意識して歩いてみてください。ポイントはこの「あおり運動」です。
足の指をうまく使って歩行をととのえることで、タコ・ウオノメの症状を予防したり、和らげる可能性があります。
足裏・足指の筋トレ
足裏・足指の筋トレも、タコ・ウオノメを予防・和らげるための習慣としておすすめです。
タコ・ウオノメをはじめとする足裏・足指のトラブルの共通した原因として考えられることは、足裏・足指の筋肉低下と言えます。足に合わない靴の長期の着用などにより足裏・足指が正しく使われず、足裏・足指が本来の仕事である、体をささえることができなくなってしまっているとも言えます。
しかし、足裏・足指のトレーニングを行い刺激を与えることで、タコ・ウオノメの症状を予防・和らげる可能性があります。
フットヘルスウェアとしての靴下の着用
足の環境をととのえる靴下を選ぶことでタコ・ウオノメを予防したり、和らげる可能性があります。
タコ・ウオノメの原因から考えると、歩き方をととのえること・足裏・足指の筋力アップなどが重要ですが、足をサポートする靴下の着用も対策の1つになり得ます。
これまで説明してきたとおり、足に合わない靴・ストッキングなどの着用が足の負担になり、健康を乱している可能性があります。靴下は「足を保護するもの」だけではなく「足の健康をととのえるフットヘルスウェア」として、とらえ直すことができます。
ケアソク〈ととのえる〉は、医師や大学教授などの足の専門家の監修を受けエビデンス(科学的根拠)を基に開発したインナー5本指タイプのソックスです。つま先の内部が5本に仕切られ、履くだけで様々な足トラブルの予防・緩和が期待できます。
横アーチサポート機能が開張足で広がった足幅をサポートし、タコ・ウオノメができにくい足に変えていきましょう。
まとめ
今回は、タコ・ウオノメの基礎知識・それぞれの違いの確認・できてしまう理由を説明し、最後に歩き方の改善・筋トレなどの習慣と靴下の選び方について解説しました。
足に合わない靴・靴下が負担となり、開張足・浮き指・外反母趾・内反小趾・ハンマートウを引き起こすことで、タコ・ウオノメの症状が出る可能性について紹介しました。
普段の歩き方の改善や足裏・足指の筋トレの他、普段履いている靴下を替えることで足への負担を軽減し、足の環境に変化を起こして、タコ・ウオノメを予防したり和らげる可能性があることを知っていただけたらと思います。
●ウオノメ(魚の目)の関連記事はこちら
→ 足の小指に魚の目ができた!改善するための習慣とは?
→ 足の裏の魚の目をどうにかしたい!原因と予防方法を解説
→ 魚の目はなぜできる?原因と再発を防ぐ方法を解説!
記事監修

北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠
