土踏まずの作り方を解説!自宅でできる簡単トレーニングで足の悩みを解消
「最近、長時間歩くとすぐに足が疲れる」「立ち仕事の後、足の裏が痛む」といったお悩みはありませんか。その不調、もしかしたら「土踏まず」がなくなっていることが原因かもしれません。土踏まずは、私たちが健康的に歩くために非常に重要な役割を担っています。
しかし、年齢や生活習慣によって、この大切なアーチ構造が崩れてしまうことがあります。
この記事では、土踏まずの重要性から、ご自宅で簡単にできるケア方法、そして扁平足によって引き起こされる様々な体のトラブルについて詳しく解説していきます。毎日の簡単なケアで、足の悩みを解消し、快適な毎日を取り戻しましょう。
この記事の目次
土踏まずの役割とは?健康を支える足のアーチ
私たちの足の裏にある「土踏まず」は、単なるくぼみではありません。
足にある3つのアーチ(内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチ)によって形成されるこの構造は、体全体の健康を支える土台として、主に3つの重要な役割を担っています。これらの機能が正しく働くことで、私たちは痛みや疲れを感じることなく、快適に活動することができるのです。
衝撃を吸収するクッション機能
歩いたり走ったりする際、足には体重の何倍もの衝撃がかかります。土踏まずのアーチ構造は、この衝撃を吸収し、分散させるバネのような役割を果たしています。
もしアーチがなければ、衝撃が直接足や膝、腰、さらには上半身にまで伝わり、様々な関節の痛みやトラブルの原因となってしまいます。
バランスを保ち正しい姿勢を維持する機能
足は、体の土台です。土踏まずが形成する3つのアーチは、地面にしっかりと接地し、不安定な場所でも体全体のバランスを保つために不可欠です。
アーチが崩れると、体の重心が不安定になり、それを補うために姿勢が歪んでしまいます。猫背や反り腰といった不良姿勢は、肩こりや腰痛など、全身の不調を引き起こす原因にもなります。
歩行時の蹴り出しを助ける機能
私たちがスムーズに歩くためには、かかとから着地し、足裏全体に体重が移動し、最後につま先で地面を蹴り出すという一連の滑らかな重心移動が必要です。土踏まずのアーチはバネのような役割を担っており、体重をかけた際にアーチが伸ばされ、それが戻る力を利用し、効率よく蹴り出すことができます。
アーチがこの動きをサポートすることで、私たちは少ないエネルギーで効率よく前に進むことができるのです。
あなたの土踏まずは大丈夫?扁平足セルフチェック
扁平足のセルフチェックには、立った状態で土踏まずの内側にボールペン1本分の隙間があるかを見て確認する方法があります。
立った状態で、土踏まずの一番高くなっている部分の隙間に、ボールペンやサインペンを差し込んでみましょう。ペン先が抵抗なく入れば、アーチは正常と考えられます。もしペンがほとんど入らない、あるいは全く入らない場合は、扁平足の可能性が高いと言えます。
チェック結果 |
足の状態 |
ペンが抵抗なく入る |
正常なアーチ |
ペンが少ししか入らない |
扁平足の傾向あり |
ペンが全く入らない |
扁平足の可能性が高い |
【関連記事】扁平足とは?概念から歩き方やエクササイズまで専門家が解説|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
なぜ土踏まずがなくなる?扁平足の主な原因
赤ちゃんの足には土踏まずがなく、成長と共に歩くことで自然に形成されていきます。
しかし、大人になってから様々な要因で、一度形成されたアーチが崩れてしまうことがあります。これを「成人期扁平足」と呼び、足のトラブルの大きな原因となります。
【関連記事】足の土踏まずがない!扁平足になる原因は?改善方法も解説|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
加齢による足裏の筋力低下
土踏まずのアーチは、足裏にある多くの筋肉(足底筋群)や腱、靭帯によって支えられています。
しかし、年齢を重ねるとともに、これらの筋肉は自然と衰えていきます。特に後脛骨筋という筋肉の機能が低下すると、アーチを吊り上げておく力が弱まり、徐々に土踏まずが潰れてしまうのです。
運動不足によるアーチの未発達
現代の生活では、歩く機会が減少したり、整備された平坦な道を歩くことが多くなったりしたため、足指や足裏の筋肉を使う機会が減っています。
特に子どもの頃の運動不足は、土踏まずのアーチが十分に発達しない原因となります。大人になってからも、運動習慣がないと筋力が低下し、扁平足につながりやすくなります。
体重増加による足への過度な負担
急激な体重増加や肥満も、扁平足の大きな原因の一つです。足は常に体全体の重さを支えており、体重が増えればその分、足底のアーチにかかる負担も増大します。支える筋肉の力以上に大きな負荷がかかり続けることで、アーチが潰れてしまうのです。
足に合わない靴の着用
つま先が細い靴や、かかとが固定されない緩い靴、クッション性のない靴などを日常的に履いていると、足指が正しく使われず、足裏の筋肉が衰えやすくなります。
また、サイズの合わない靴は不自然な歩き方につながり、足のアーチに継続的なストレスをかけ、扁平足を引き起こす原因となります。
土踏まずがないと起こる身体のトラブル
土踏まずがない扁平足の状態を放置すると、足だけの問題にとどまらず、全身に様々な不調を引き起こす可能性があります。アーチの機能が失われることで、体にどのような影響が及ぶのかを具体的に見ていきましょう。
全身に負担が生じ痛みの原因になる
扁平足自体は関節の動きや痛みを直接引き起こすことはありませんが、運動連鎖(ある関節での運動が他の関節の動きに影響すること)によって膝・股関節・腰などの全身への負担が生じ、それによって二次的に疲労感や痛みを生じる可能性があります。
本来アーチが持つ衝撃吸収機能が低下することで、足底腱膜に常に緊張状態が生じ、足を怪我しやすくなります。
足底腱膜炎のリスク
土踏まずのアーチが崩れると、足の腱膜に過度な負担がかかり続けることで、かかとなどに鋭い痛みが生じる「足底腱膜炎」を発症するリスクも高まります。
膝痛・腰痛の原因になる
足のアーチが崩れると、衝撃吸収機能が低下し、歩行時や走行時の衝撃を和らげる機能が損なわれます。そのため他の関節への負担が増加してしまうのです。
医学研究では扁平足が急性腰痛や、慢性腰痛のリスクを増加させることが示されています。さらに、膝の痛みのリスクも高めることが確認されているのが現状です。
自宅で実践!土踏まずを作る簡単トレーニング
失われた土踏まずを取り戻すには、アーチを支える足裏の筋肉(足底筋群)を鍛えることが最も効果的です。特別な道具は必要なく、テレビを見ながらでもできる簡単なトレーニングを毎日続けることで、足の機能は着実に改善していきます。
ここでは、代表的な3つのトレーニングを紹介します。
手順1:足指を鍛えるタオルギャザー運動
タオルギャザーは、足の指を動かす筋肉を直接的に鍛える基本的なトレーニングです。
- 椅子に座り、床に広げたタオルの手前端にかかとを乗せます。
- 足の5本指をすべて使って、タオルをゆっくりと手前にたぐり寄せます。
- すべてたぐり寄せたら、今度は逆の動きでタオルを広げます。
この動作を1日10回(5分程度)継続しましょう。ペットボトルなどを重しとしてタオルの奥に乗せると、さらに負荷を高めることができます。
手順2:足指の柔軟性を高めるグーパー体操
足指の動きを良くし、柔軟性を高めるための体操です。普段使わない筋肉を刺激することができます。
- 裸足の状態で、足の指を力いっぱい握りしめ、「グー」の形を作ります。
- 次に、指と指の間を大きく広げるように意識して、「パー」の形を作ります。
この「グー」と「パー」の動きを、リズミカルに20回ほど繰り返してください。お風呂の中など、体が温まっている時に行うとより効果的です。
手順3:ふくらはぎも強化するカーフレイズ
カーフレイズは、ふくらはぎの筋肉を鍛える運動ですが、足底のアーチを維持するためにも非常に重要です。
- 肩幅に足を開いて立ち、壁や椅子に手を添えて体を支えます。
- かかとをゆっくりと持ち上げ、つま先立ちの状態になります。
- アキレス腱とふくらはぎが伸びているのを感じながら、ゆっくりとかかとを下ろします。
この上下運動を15〜20回繰り返しましょう。この運動は、足裏からふくらはぎにかけての筋肉を総合的に強化するのに役立ちます。
トレーニング効果を高める!日常生活のポイント
トレーニングで足裏の筋肉を鍛えることと並行して、日常生活での習慣を見直すことも、土踏まずの再生と維持には欠かせません。特に「靴選び」と「歩き方」は、足の健康に直接影響を与える重要な要素です。
正しい靴の選び方とインソールの活用
毎日履く靴は、足のアーチをサポートする重要な役割を担っています。靴を選ぶ際は、かかと部分の作りがしっかりとしていて、足を安定して支えてくれる靴を選びましょう。
また、靴紐やベルトで足の甲を適切に固定できるデザインが理想的です。アーチサポート機能のあるインソール(中敷き)を活用するのも非常に効果的です。
自分の足に合ったインソールは、崩れたアーチを適切に支え、歩行時の負担を大幅に軽減してくれます。
【関連記事】靴がゆるいときの対策!簡単にできる方法と大きすぎる靴のリスク|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
足指を意識した正しい歩き方
歩き方を意識することも、足裏の筋肉を自然に鍛えることにつながります。歩く際は、かかとから着地し、足指でしっかり蹴り出すことを意識してみましょう。これが足裏の筋肉を鍛えることにつながります。
正しい歩き方をしていると、 かかと→足の外側→親指の付け根 の順に重心が移動していきます(あおり運動)。
この一連の動作が、足のアーチ機能を最大限に活用し、強化する上で役立ちます。
アキレス腱のストレッチで柔軟性を保つ
アキレス腱や下腿筋のストレッチは扁平足による二次的な筋緊張を予防・改善し、足底筋膜炎などの症状を軽減する効果があります。壁に両手をつき、足を前後に開いて後ろ足のアキレス腱をゆっくり伸ばすストレッチを習慣にしましょう。
30秒ほど気持ちよく伸ばすのを左右2〜3セット行うことで、足首の柔軟性が保たれ、トレーニングの効果も高まります。
機能性のある靴下を選ぶ
トレーニングと合わせて、毎日履く靴下を見直すことも、土踏まずのアーチ形成をサポートする上で非常に効果的です。足底のアーチを下から支えるサポート機能や、足指で地面をしっかり掴める5本指タイプの靴下は、歩行時の衝撃を緩和し、足本来の機能を取り戻す助けとなります。
足の専門家と開発した「ケアソク」は、履くことで足底のアーチを支え、正しい歩行をサポートします。ご自身の悩みに合わせた一足を探してみてはいかがでしょうか。
足の専門家が開発したアーチサポート靴下「ケアソク」の詳細はこちら
子どもの扁平足で悩む保護者の方へ
「うちの子、土踏まずがないかも?」と心配される保護者の方は少なくありません。
しかし、子どもの扁平足は、大人の場合とは少し異なる視点で考える必要があります。焦らず、子どもの足の成長を正しくサポートしてあげましょう。
子どもの土踏まずはいつ完成するのか
生まれたばかりの赤ちゃんは、足の裏が脂肪に覆われているため、誰でも扁平足に見えます。歩き始めるようになり、様々な運動を経験する中で足裏の筋肉や骨が発達し、徐々に土踏まずが形成されていきます。
一般的に、土踏まずのアーチ形成は3~4歳くらいに始まり、7~9歳くらいで安定すると言われています。したがって、幼児期に土踏まずがないように見えても、過度に心配する必要はありません。
成長期に心がけたい運動習慣と靴選び
子どもの土踏まずの健全な発達のためには、成長期に足指をたくさん使うことが何よりも大切です。裸足で遊ぶ機会を増やしたり、鬼ごっこや縄跳びなど、走ったりジャンプしたりする遊びを積極的に取り入れると良いでしょう。
また、靴選びも重要です。子どもの足はすぐに大きくなるため、つい大きめのサイズを選びがちですが、足に合わない靴は正しい足の成長を妨げます。かかとがしっかり固定され、指先には少し余裕がある、サイズの合った靴を定期的に選んであげてください。
足にしっかりフィットさせるためには、足の真ん中あたりの中足骨(ちゅうそくこつ)を締められるひも靴やマジックテープの靴がベストです。【関連記事】子どもの足がアブナイ!?未来の足は大人が守る!~靴の履き方編~|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
まとめ
土踏まずは、私たちの体を支え、快適な活動を可能にするための重要な基盤です。加齢や運動不足によってこのアーチが失われると、足の疲れや痛みだけでなく、膝、腰、肩といった全身の不調につながる可能性があります。しかし、扁平足は決して改善できないものではありません。
今回ご紹介した「タオルギャザー」や「グーパー体操」などの簡単なトレーニングを毎日コツコツと続けることで、足裏の筋力を強化し、土踏まずのアーチ機能を再生させることが可能です。また、ご自身の足に合った靴を選び、正しい歩き方を意識するといった日常生活の見直しも、足の健康を守る上で非常に効果的です。今日からできる小さな一歩で、痛みや疲れのない、健やかな足を取り戻しましょう。
ケアソク〈ととのえる〉は、崩れた足のアーチをサポートする機能を持つフットヘルスウェアです。 足の専門家と共同開発し、科学的なエビデンスのある “新しい概念の靴下” をぜひお試しください。
●ケアソク〈ととのえる〉の研究開発者インタビュー
「研究を、世の中のために」共同開発者がケアソクに込めた想い
●足のアーチをサポートし、足指を正しい位置に誘導・配置する5本指靴下
→ケアソク〈ととのえる〉シリーズはこちら
記事監修
北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠


