扁平足の見分け方を解説!自宅でできる簡単なセルフチェック方法とは?
「最近、少し歩いただけですぐに足が疲れる」「足の裏に痛みを感じることが増えた」と感じていませんか。もしかしたら、その不調の原因は「扁平足」にあるかもしれません。
扁平足は、自分では気づきにくいことも多く、放置すると膝や腰の痛みなど、全身に影響が及ぶこともあります。
この記事では、ご自宅で簡単にできる扁平足の見分け方から、その原因、そして今日から始められる改善策まで、わかりやすく解説していきます。ご自身の足の状態を正しく理解し、健やかな毎日を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。
この記事の目次
もしかして扁平足?まずは簡単なセルフチェックから始めよう
自分が扁平足かどうか、気になっている方も多いのではないでしょうか。専門機関に行かなくても、自宅にあるものやご自身の体を使って簡単に確認する方法がいくつかあります。まずは、以下の3つのセルフチェックを試してみましょう。
かかとの傾きを鏡で見てみよう
扁平足の方は、かかとが内側に傾いていること(過回内)が多いです。ご家族に後ろから見てもらうか、鏡を使ってご自身で確認してみましょう。まっすぐ立った状態で、アキレス腱からかかとにかけてのラインを確認します。
このラインがまっすぐではなく、「ハの字」のように内側に傾いている場合、アーチが崩れているサインかもしれません。また、後ろから見たときに、足の指が外側にたくさん見えすぎる「TooManyToesサイン」も扁平足の特徴の一つです。
つま先立ちで土踏まずの状態を確認
次につま先立ちをしてみて、土踏まずが現れるかどうかを確認します。通常の立位では足のアーチが平坦な状態であっても、かかとを上げたときに、しっかりと土踏まずが現れる場合は、「柔軟性扁平足」の可能性があり、この段階であれば比較的改善しやすいと言われています。
しかし、つま先立ちをしても土踏まずが全く現れない、またはこの動作自体が難しい場合は、より進行した状態である可能性が考えられます。
靴裏のすり減り方で歩き方の癖を知る
普段履いている靴の裏側も、足の状態を知るための重要な手がかりになります。
靴底をチェックして、特に内側のかかと部分が極端にすり減っている場合、歩行時に体重が内側にかかりすぎている証拠です。これは扁平足の方によく見られる歩き方の癖を反映しています。
チェック項目 |
正常な場合 |
扁平足の疑いがある場合 |
足跡 |
土踏まず部分にくびれがある |
足裏全体がべったりと付く |
かかとの傾き |
ほぼ垂直 |
内側に「ハの字」に傾いている |
つま先立ち |
土踏まずがくっきり現れる |
土踏まずが現れない、または変化が少ない |
靴底の減り |
親指のつま先とかかとの外側が減る |
かかとの内側が極端に減る |
【関連記事】扁平足とは?概念から歩き方やエクササイズまで専門家が解説|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
扁平足とは?体を支える「足のアーチ」の重要性
セルフチェックで扁平足の可能性が考えられた方もいるかもしれません。では、そもそも扁平足とはどのような状態で、なぜ問題なのでしょうか。
ここでは、体を支える上で非常に重要な「足のアーチ」の役割と合わせて解説します。
足のアーチが果たす3つの重要な役割
私たちの足裏は、平らではなく、ドーム状の「アーチ構造」をしています。このアーチは主に3つあり、それぞれが重要な役割を担っています。
衝撃吸収(クッション機能) |
歩行や走行時に地面から受ける衝撃を吸収し、足や膝、腰への負担を和らげます。 |
安定性(バランス保持) |
体全体を支え、姿勢を安定させる土台となります。 |
推進力(バネ機能) |
地面を蹴り出す力を効率的に生み出し、スムーズな歩行を助けます。 |
扁平足とは、この足のアーチ構造、特に土踏まずを形成する「内側縦アーチ」が低下してしまった状態のことを指します。アーチが潰れることで、これらの重要な機能が低下し、体に様々な不調を引き起こす原因となるのです。
子どもの扁平足と大人の扁平足の違い
子どもの足は、成長過程でアーチが形成されていきます。幼児期は足裏に脂肪が多く骨や筋肉も未発達なため、ほとんどの子どもが扁平足に見えます。これは生理的なもので、通常は3~4歳くらいにアーチ形成が始まり、7~9歳くらいで自然と土踏まずができてくると言われています。
一方、大人の扁平足は、一度形成されたアーチが様々な原因によって崩れてしまう後天的なものがほとんどです。これを放置すると、様々な足のトラブルにつながるため、早期の対策が重要となります。
なぜ扁平足になるの?考えられる主な原因
大人の扁平足は、日常生活の中に潜む様々な要因が積み重なって起こります。ここでは、扁平足につながる主な原因を4つご紹介します。ご自身の生活習慣と照らし合わせてみてください。
【関連記事】足の土踏まずがない!扁平足になる原因は?改善方法も解説|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
運動不足による足裏の筋力低下
足のアーチは、骨格だけでなく、多くの筋肉や靭帯によって支えられています。特に、すねから足裏につながる「後脛骨筋」はアーチを吊り上げる重要な役割を担っています。
運動不足によってこの筋力が低下すると、アーチを支えきれなくなり、徐々に土踏まずが潰れてしまいます。
体重の増加による足への過度な負担
体重が増加すると、その分だけ足にかかる負担も大きくなります。足のアーチは常に体重を支えているため、過度な負荷がかかり続けると、アーチを支える靭帯や筋肉が伸びてしまい、扁平足の進行を早める原因となります。
長時間の立ち仕事や合わない靴の影響
毎日長時間立ち仕事をされている方は、足への負担が蓄積しやすくなります。
また、靴の選び方も重要です。ゆとりのある幅広シューズは一見足に負担がなさそうですが、体重をかけた際にアーチを支えられないため、扁平足となりやすいです。また、クッション性がなく、底がフラットなシューズを履き続けることも、足のアーチを崩す大きな原因となります。足に合わない靴は、足指の正しい動きを妨げ、筋力低下にもつながります。
加齢による靭帯のゆるみ
年齢を重ねるとともに、体の柔軟性が失われたり、筋力が低下したりするのと同じように、足のアーチを支える靭帯も徐々にゆるんできます。これにより、アーチ構造が弱まり、扁平足が進行することがあります。特に中年以降の女性に多く見られます。
扁平足が引き起こす可能性のある身体の不調
扁平足は、単に土踏まずがないというだけでなく、体の様々な不調の引き金となる可能性があります。アーチ機能の低下がどのような問題につながるのかを具体的に見ていきましょう。
足の疲れやすさや慢性的な痛み
扁平足の最も代表的な症状が、足の疲れやすさと痛みです。
アーチのクッション機能が低下するため、歩行時の衝撃が直接足裏に伝わり、筋肉や腱に負担がかかります。これにより、足底筋膜炎などを発症し、かかとや足裏に慢性的な痛みを抱えることも少なくありません。
外反母趾や足底筋膜炎のリスク増
扁平足になると、歩行時の衝撃吸収機能が低下し、足指に不自然な力がかかりやすくなります。また、足裏の腱膜が過剰に伸ばされることで炎症を起こす、足底筋膜炎のリスクも高まります。
【関連記事】足底筋膜炎を改善するための靴下選びと役立つ知識を公開|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
膝痛・腰痛・肩こりなど全身への影響
足は体の土台です。その土台であるアーチが崩れると、衝撃吸収がうまくできなくなり、その負担は足首、膝、股関節、そして腰へと連鎖的に影響を及ぼします。
不調の種類 |
扁平足との関連性 |
足のトラブル |
足底腱膜炎、足裏の疲れ、かかとの痛み |
膝・腰の痛み |
歩行時の衝撃が吸収できず、関節に直接負担がかかる |
姿勢の歪み |
体の土台が不安定になり、猫背や反り腰の原因となる |
今日から始められる扁平足の改善・予防策
扁平足は、日々のセルフケアによって進行を予防したり、症状を和らげたりすることが可能です。
ここでは、自宅で簡単に取り組める改善・予防策を4つご紹介します。無理のない範囲で、毎日の習慣にしてみましょう。
足指を鍛えるタオルギャザー運動
足裏の筋肉を鍛え、アーチ機能をサポートするための代表的なトレーニングです。
<タオルギャザー運動>
椅子に座り、床にタオルを広げます。
かかとは床につけたまま、足の指だけを使ってタオルをゆっくりと手繰り寄せます。
これを10回程度繰り返します。
この運動は、足の指をしっかり使う感覚を養うのに非常に効果的です。テレビを見ながらでも簡単に行えるので、ぜひ毎日の習慣にしてみてください。
アキレス腱を伸ばすストレッチ
ふくらはぎやアキレス腱が硬くなっていると、足首の動きが悪くなり、扁平足の要因となります。お風呂上がりなど、体が温まっている時に行うとより効果的です。
壁に向かって立ち、両手を壁につけます。
片足を後ろに引き、かかとを床につけたまま、前の膝をゆっくり曲げます。
ふくらはぎからアキレス腱が心地よく伸びるのを感じながら、30秒ほどキープします。
アーチを支えるインソールの活用
インソール(中敷き)は、低下してしまったアーチを物理的に支え、足本来の機能を取り戻す手助けをしてくれます。
歩行時の衝撃を吸収し、足にかかる負担を軽減してくれるため、痛みの緩和にも効果が期待できます。スポーツ用品店や専門の店舗で、自分の足に合ったものを選ぶことが重要です。
参考:足底筋膜炎でインソールを使うのが逆効果にならないための正しい選び方|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
正しい靴選びの3つのポイント
毎日履く靴を見直すことは、扁平足対策の基本です。以下のポイントを参考に、ご自身の足に合った靴を選びましょう。
- かかとがしっかりしている:かかと部分の作りがしっかりとしていて、足を安定して支えてくれる靴を選びましょう。
- つま先に余裕がある:指先が圧迫されず、靴の中で指を動かせるくらいのゆとりが必要です。
- 靴紐やベルトで調整できる:足の甲をしっかりと固定できることで、靴の中での足のずれを防ぎます。
足底アーチのサポート機能がある靴下を選ぶ
トレーニングと合わせて、毎日履く靴下をアーチをサポートする機能性靴下に替えることもおすすめです。アーチサポート機能のある靴下は、低下した土踏まずを下から支え、歩行時の衝撃吸収を助けます。 また、5本指靴下を着用することも、歩行時に足趾をしっかり使い、アーチ機能を高めることができます。
足の専門家と開発した〈ケアソク〉は横アーチサポートとインナー5本指の機能を有する靴下です。履くだけで足をサポートし、快適な歩行を助けます。ご自身の足に合った一足を探してみてはいかがでしょうか。
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強い痛みがある場合は整形外科へ
セルフケアを続けても痛みが改善しない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
歩行が困難なほどの強い痛みがある、または外反母趾などの変形が目立つ場合は、まず整形外科を受診しましょう。医師がレントゲンなどで足の状態を正確に診断し、必要に応じてインソール(足底装具)の処方や、リハビリテーション、薬物療法など、医学的な観点から適切な治療を提案してくれます。
まとめ:自分の足の状態を知り、適切な対策を始めましょう
扁平足は、多くの人が抱える可能性のある足のトラブルですが、その多くは日々の少しの心がけで予防・改善ができることもあります。
まずは今回ご紹介したセルフチェックでご自身の足の状態を把握することから始めてみてください。そして、もし扁平足の傾向が見られたら、簡単なトレーニングやストレッチ、インソールの活用など、できることから対策を取り入れていきましょう。
自分の足を大切にケアすることが、将来の健康を守る第一歩となります。
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記事監修
北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠


