土踏まずがかゆい原因は水虫?汗疱?症状別の見分け方と対処法を解説
ふとした瞬間に、土踏まずに耐えがたいかゆみを感じたことはありませんか。「もしかして水虫かも?」と不安になったり、仕事や勉強に集中できなかったり、とてもつらい症状です。土踏まずのかゆみは、水虫だけが原因とは限りません。
何気ない生活習慣が原因になっていたり、他の皮膚の病気が隠れていることもあります。
この記事では、土踏まずがかゆくなる原因を症状別に見分け、自分でできる応急処置から、病院へ行くべき目安、そして再発を防ぐための予防法まで、わかりやすく解説します。その不快なかゆみの原因を正しく理解し、適切な対処で快適な毎日を取り戻しましょう。
この記事の目次
そのかゆみ、なぜ?土踏まずがかゆくなる主な原因
土踏まずのかゆみを引き起こす原因は一つではありません。代表的な病気や皮膚の状態を知ることで、ご自身の症状を客観的に見つめる手がかりになります。
最も多い原因「水虫(足白癬)」
「足のかゆみ」と聞いて多くの方が思い浮かべるのが水虫(足白癬)ではないでしょうか。水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が、足の皮膚の角質層に感染・増殖することで起こります。
趾間型(しかんがた)と呼ばれる指の間の皮がむけたり、じゅくじゅくしたりするタイプが最も多いですが、土踏まずに症状が出る小水疱型(しょうすいほうがた)もあります。このタイプは急性炎症期に一時的に強いかゆみが出ることがありますが、水疱が乾燥する頃にはかゆみはなくなります。
参考:白癬(水虫・たむしなど)Q10-皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
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小さな水ぶくれができる「汗疱(かんぽう)」
汗疱(かんぽう)、または異汗性湿疹(いかんせいしっしん)は、手のひらや足の裏、特に土踏まずに小さな水ぶくれがたくさんできる皮膚炎です。
原因ははっきりとわかっていませんが、汗を多くかくことや金属アレルギーなどが関係していると考えられています。水虫と症状が似ていますが、汗疱は他人にうつることはありません。
季節の変わり目や、ストレスを感じた時に症状が出やすい傾向があります。
膿をもった水ぶくれができる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」
掌蹠膿疱症は、手のひらや土踏まずに、膿が入った小さな水ぶくれ(膿疱)が繰り返しできる病気です。最初は透明な水ぶくれで、次第に黄色い膿疱に変化します。
原因はまだ完全には解明されていませんが、喫煙や扁桃炎、歯科金属アレルギーなどが関連していると指摘されています。
アレルギーや刺激による「接触皮膚炎(かぶれ)」
接触皮膚炎は、一般的に「かぶれ」として知られています。特定の物質が皮膚に触れることで、アレルギー反応や刺激反応が起こり、赤みやかゆみ、水ぶくれなどの湿疹ができます。
足の場合、靴下の化学繊維や染料、革製品をなめす際に使われる化学物質、塗り薬の成分などが原因となることがあります。
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カサカサしてかゆい「乾燥」
空気が乾燥する冬場などに、肌全体の水分が不足してかゆみが出ることがあります。土踏まずも例外ではありません。皮膚が乾燥すると、外部からの刺激に敏感になる「バリア機能」が低下し、わずかな刺激でもかゆみを感じやすくなります。
特に、お風呂で体を洗いすぎたり、熱いお湯に入ったりすると、皮脂が奪われて乾燥しやすくなるため注意が必要です。
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その他(虫刺され・皮膚掻痒症など)
上記のほかにも、虫刺されや、目に見える発疹などがないのにかゆみだけを感じる皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)などが原因となることもあります。
まれに、肝臓や腎臓の病気といった内臓疾患のサインとして、全身のかゆみの一部が足の裏に現れることもあります。
【症状でチェック】これって水虫?原因の見分け方
土踏まずのかゆみは、原因によって対処法が異なります。特に、水虫かそれ以外かを見分けることは重要です。水虫薬は水虫の原因である白癬菌にしか効果がなく、他の皮膚炎に使用すると症状を悪化させる可能性があるためです。
以下は、あくまで一般的な目安ですが、ご自身の症状と見比べてみてください。
原因 |
主な症状 |
かゆみの特徴 |
他人への感染 |
水虫(小水疱型) |
赤みを伴う小さな水ぶくれ、皮がむける、じゅくじゅくする |
強いかゆみを伴うことが多い |
あり |
汗疱 |
透明で小さな水ぶくれが多発する、赤み |
むずがゆい感じ、強いかゆみを伴うこともある |
なし |
掌蹠膿疱症 |
膿を含んだ黄色い水ぶくれ(膿疱)、かさぶた |
かゆみを伴う |
なし |
接触皮膚炎 |
原因物質が触れた範囲に赤み、ブツブツ、水ぶくれ |
強いかゆみを伴う |
なし |
乾燥 |
皮膚がカサカサする、粉をふく、ひび割れ |
チクチク、ピリピリとしたかゆみ |
なし |
最終的な診断は、皮膚科医が顕微鏡で皮膚の一部を検査して行います。自己判断で市販薬を使い続けると、かえって治りを遅らせてしまうこともありますので、迷った場合は専門医に相談しましょう。
今すぐ止めたい!かゆみがつらい時の応急処置
原因が何であれ、今すぐ何とかしたいのがつらいかゆみです。悪化させないためにも、正しい応急処置を知っておきましょう。
まずは冷やしてかゆみを鎮める
かゆみがある部分は、炎症を起こして熱を持っていることがあります。タオルで巻いた保冷剤などを当てて冷やすと、血管が収縮し、かゆみを感じる神経の働きが一時的に鈍くなるため、症状が和らぎます。
ただし、冷やしすぎは凍傷の原因になるので注意してください。逆に入浴などで温めると血行が良くなり、かゆみが増すことがあるため、シャワーで済ませるのが無難です。
掻きむしるのは絶対に避ける
かゆいと無意識に掻いてしまいがちですが、掻きむしるのは絶対にやめましょう。掻くことで皮膚のバリア機能が壊れ、さらに炎症がひどくなってかゆみが増すという悪循環に陥ります。
また、掻いた傷から細菌が入り込み、二次感染(蜂窩織炎など)を引き起こす危険性もあります。
市販薬を使う前に知っておきたいこと
薬局では様々な皮膚用の市販薬が手に入りますが、選び方には注意が必要です。水虫が疑われる場合は「抗真菌成分」が含まれた水虫薬を、汗疱や接触皮膚炎などの湿疹が考えられる場合は「ステロイド成分」などが配合された湿疹治療薬を選びます。
もし、原因がはっきりしないのに水虫薬を使用してしまうと、症状が悪化する可能性があります。どの薬を選べばよいか迷う場合や、市販薬を1週間程度使用しても改善しない場合は、使用を中止して皮膚科を受診してください。
病院へ行くべき?受診の目安と診療科
セルフケアで改善しない場合や、症状が強い場合は、専門医の診察を受けることが解決への近道です。
こんな症状が出たらすぐに皮膚科へ
以下のような症状が見られる場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
- かゆみが非常に強い、または痛みを伴う
- 水ぶくれが破れてじゅくじゅくしている
- 症状がどんどん広がっている
- 市販薬を数日使っても改善しない、または悪化した
- かゆみだけでなく、熱っぽさやだるさなど全身の症状がある
特に、水虫は家族など周りの人にうつしてしまう可能性があるため、疑わしい場合はきちんと診断を受けて治療することが大切です。
治療法は原因によって異なる
皮膚科では、まず問診や視診、必要に応じて顕微鏡検査などを行い、かゆみの原因を正確に診断します。治療は原因に応じて行われ、水虫であれば抗真菌薬の塗り薬、汗疱や接触皮膚炎であればステロイドの塗り薬やかゆみを抑える飲み薬などが処方されます。
症状が良くなったからといって自己判断で薬をやめず、医師の指示に従って治療を続けることが完治への鍵となります。
もう繰り返さない!今日からできる予防ケア
つらいかゆみを繰り返さないためには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。今日からできる予防法を心がけましょう。
基本は足を清潔・乾燥に保つこと
白癬菌は、高温多湿の環境を好みます。毎日入浴して、石鹸をよく泡立て、指の間まで丁寧に洗いましょう。洗った後は、乾いたタオルで水分をしっかりと拭き取ることが大切です。
特に夏場など汗をかきやすい季節は、足を清潔で乾燥した状態に保つことを意識してください。白癬菌が足についても、24時間以内に洗い流せば感染しにくいと言われています。
通気性の良い靴・靴下を選ぶ
長時間靴を履く場合は、通気性の良い素材の靴を選びましょう。毎日同じ靴を履くのではなく、何足かをローテーションさせて、履かない靴はしっかりと乾燥させることが理想です。
日中、靴を脱げるタイミングがあれば、こまめに脱いで蒸れを防ぐのも効果的です。
また、指が独立している5本指靴下は、指同士の接触や蒸れを防ぐため、足指を清潔に保つためにおすすめします。
【関連記事】足汗の対策方法3選!臭いを抑える方法も解説|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
スリッパや足ふきマットの共有は避ける
家族に水虫の人がいる場合、スリッパや足ふきマットを共有することで感染する可能性があります。これらの共用は避け、こまめに洗濯や清掃を行い、清潔を保つようにしましょう。
まとめ
土踏まずのかゆみは、水虫や汗疱、乾燥など様々な原因によって引き起こされます。まずは、見た目の症状から原因を推測し、掻きむしらずに冷やすなどの応急処置を試みてください。
症状が改善しない場合や、原因がはっきりしない場合は、自己判断で薬を使い続けずに皮膚科を受診することが大切です。
専門医による正しい診断と治療を受け、足を清潔に保つなどのセルフケアを習慣づけることで、不快なかゆみを解消し、再発を防ぎましょう。
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記事監修
北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠


