ハイアーチとは?原因と改善方法など靴下選びのコツを解説
「長時間歩くとふくらはぎが疲れやすい」「かかとが痛む」「足をひねりやすい」……
このような足の悩みはありませんか。もしかしたら、足がハイアーチになっているかもしれません。ハイアーチは足の筋力が緊張している状態であるため、足底腱膜炎(足底筋膜炎)などの症状に進む可能性があります。
そこで今回は、ハイアーチの原因と改善方法を解説します。ハイアーチになった場合の靴下の選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ハイアーチはどういう状態なのか?
自分にあった靴下を選ぶためにも、ハイアーチについて詳しく知ることは重要です。
ここでは、ハイアーチの特徴と症状を解説します。
ハイアーチとは
ハイアーチとは、土踏まずを形成している内側の縦アーチが高く、甲が高い足の状態をいいます。足の裏が平らになる扁平足とは逆の状態です。ハイアーチの中でも、土踏まずが全く地面に接しないほど浮いた状態は凹足(おうそく)と呼ばれます。
ハイアーチは足裏のアーチがアンバランスな状態であるため、歩行の際の衝撃が吸収されにくくなります。足裏だけでなく、膝や腰にかかる負担も大きくなってしまうでしょう。
また、ハイアーチが進行するとかかとと前足部に圧力が集中してかかるため、皮膚が硬くなりタコやウオノメなどができやすい状態です。
そして、足の甲が高いため足裏の接地面が小さくなり、体のバランスを崩す人も少なくありません。
症状が悪化すると足底腱膜炎やハンマートウ(ハンマートゥ)などを引き起こす場合もあるため、早めの対策をおすすめします。
関連記事:ハンマートウ(ハンマートゥ)とは?症状や原因など靴下選びのコツを解説
ハイアーチが進行すると起きうる症状
ハイアーチが進行すると以下のような症状が出る可能性があります。
- 足の裏全体を床につけたまま、しゃがむことができない
- 長時間の歩行や運動で足に疲れが溜まりやすい
- 足の甲が硬く、歩くとふくらはぎが疲れやすい
- 足首をひねりやすい
また、見た目にも足の甲が高く土踏まずが持ち上がっているため、ご自身で気がつく方も多いでしょう。
関連記事:足の裏の骨に違和感がある時の原因と対策は?トラブル予防法も紹介
ハイアーチになってしまう可能性のある2つの原因
ハイアーチは先天性の疾患がない限り、生活習慣やスポーツなどによる筋肉の使い方が原因です。
ここでは、ハイアーチになる可能性がある原因を解説します。
ハイヒールの使用
ハイアーチになりうる原因に、ハイヒールの使用があります。ハイヒールを履いた足の形は、つま先立ちをしている状態です。つま先立ちの状態になると、足底腱膜が引っ張られることで足のアーチが高くなります(ウィンドラスアクション)。さらに、ふくらはぎの筋肉が緊張した状態になるため、そのこともかかとの骨を介して足裏を緊張させる原因となります。
足先に負担がかかる運動をしている
足先に負担がかかりやすい運動をしていると、ハイアーチになる場合があります。例えば、サッカーや陸上競技などのスポーツをしている人は、足先や足底腱膜にかかる負荷が大きく、足のアーチのバランスが崩れてしまう可能性があります。
特に、硬い路面で練習を繰り返していると、足裏への負担が大きくなるでしょう。
ハイアーチの改善につながりうる対策と靴下の選び方
ハイアーチは靴や靴下を替える、足のマッサージを行うなどで改善されることがあります。
ここでは、日常生活で取り入れやすいハイアーチの改善方法を解説します。
靴を替える
ハイヒールを履く機会が多い人は、靴を替えてみてはいかがでしょうか。
難しいのは、ハイアーチの人は足がつま先立ちの形になるヒールの高い靴の方が快適に感じてしまうことです。しかしそのままハイヒールを履き続けると、一向に筋力バランスのズレは改善されません。
ハイアーチを予防するには、ヒールの高さは4cm以内の靴がおすすめです。足の甲を留めるストラップつきの靴を選ぶと、さらに足が安定します。もちろん、ちゃんとサイズの合った靴を選ぶのが基本です。
五本指ソックスに替える
ハイアーチで足にトラブルを感じているなら、五本指ソックスの着用をおすすめします。
ストッキングなどで足指が動きにくい状態であると足裏はより緊張してしまうため、五本指ソックスを着用して指をしっかり動かすことで足裏の緊張を軽減することができます。
また、五本指ソックスの着用は正しい歩行を促します。歩行姿勢がよくなると膝や腰への負担も少なくなりますよ。
加えて、ハイアーチの足は硬く歩行時の衝撃を吸収できず足腰への負担がかかりやすいです。そのため、かかと部にクッション性の高い五本指ソックスを履くことで歩行時の衝撃を吸収し、足裏への負担を軽減するためおすすめです。
足裏やふくらはぎのマッサージをする
ハイアーチは、足裏やふくらはぎの筋肉が硬直しやすい状態です。そこで、足の筋肉を柔らかくほぐすマッサージを取り入れてみてはいかがでしょうか。
足裏とふくらはぎのマッサージ方法を紹介します。
- かかとから足指の付け根、足の指にかけて足裏をゆっくり押す
- ふくらはぎは手で掴むように圧迫しながら痛気持ちいい程度でゆっくりマッサージする
足に痛みがある場合は無理して行わないでください。
また、足の痛みが強い場合は整形外科などの医療機関を受診しましょう。
関連記事:足の裏の疲れをどうにかしたい!ストレッチと予防方法を解説
インソールを使用する
ハイアーチの改善には、インソールを使用する方法があります。足のアーチを正しい位置に戻すのは時間がかかりますが、インソールは使用してすぐにアーチを補助できるため効果的な対策のひとつです。
けれど足の形には人それぞれ個性があるため、インソールを選ぶ際はシューフィッターなどのいる専門店へ行き、アドバイスを受けましょう。
まとめ
ハイアーチは足の甲が高くなった状態で、本来よりも土踏まずが高いため自分で気付く人もいるでしょう。ハイアーチになると歩行時の衝撃が吸収されにくいため、早めの対策をおすすめします。
例えば、ハイヒールを長期間使用している人は、サイズの合ったヒールの低い靴に変えてみましょう。足裏の筋肉を柔軟にするために効果的なマッサージもぜひお試しください。
そして、お仕事柄ストッキングなどで足指が動きにくい状態で過ごすことが多い方は、休日には五本指ソックスで指をしっかり動かし、足の緊張を軽減しましょう。
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記事監修

北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠
