ハンマートウ(ハンマートゥ)とは?症状や原因など靴下選びのコツを解説
一日の終わりに靴を脱ぐと、足の指が内側に曲がった状態で固まっていることはありませんか。
「ハンマートウになっているかもしれない」「靴下を変えたら改善できる?」
足の指に関して、このような疑問を持つ人がいるかもしれません。
そこで今回は、ハンマートウになっているかをセルフチェックする方法と改善方法を解説します。足の変形に気づいた際の靴下の選び方も紹介していきますので、ぜひご覧ください。
ハンマートウとは?特徴と症状について解説
ハンマートウに向く靴下を選ぶ前に、ハンマートウの特徴と症状を解説します。
ハンマートウとは
ハンマートウ(つちゆび)とは、Z字型に足の指が固まってしまった足指の状態のことです。ハンマートウは、足の人差し指、ときには中指または薬指にグッと力が入っているような状態に曲がるという特徴があります。
足の人差し指、もしくは中指や薬指などの関節がZ字のような形に変形してしまいます。
足指の変形には、変形の起こっている関節の部位によって以下の3種類に分けられます。
- ハンマートウ(金づち型)……第一、第二、第三関節のいずれも曲がる
- クロートウ(かぎ爪型)……第一、第二関節で曲がる
- マレットトウ(木づち型)……足指の第一関節のみが折れ曲がる
それぞれ形状によって呼び方は異なりますが、基本的な症状・原因・改善方法は同じです。
ハンマートウの症状
ハンマートウになると、主に以下のような症状が現れます。
- 足指が浮いていて足指に力が入らない
- 足裏や足の指の上にタコやマメができる
- 足裏の足指の付け根が痛くなる
ハンマートウになると、足指の関節が曲がっていることで、靴に関節の部分が当たり痛むようになります。その部分を保護するために防御反応として角質を厚くし、タコができてしまうのです。
また、ハンマートウでは「タコができて見た目が悪い」「爪が変形してマニキュアが似合わない」と悩みを持つ人も多いでしょう。
初期の状態では、ハンマートウは指を押すとまっすぐに伸ばすことも可能です。しかし、時間が経過すると硬くなり、手を使っても動かせないケースも少なくありません。
足の変形が著しく、指の硬い状態が長期化すると、テーピングなどで正しい位置に矯正する保存療法では難しくなり、外科手術を行うケースもあります。
ハンマートウの原因は?靴下選びに役立つ基礎知識
ハンマートウがなぜ起こるのか原因を知ると、どんな靴下を選べば良いのか分かります。ハンマートウに悩む人の多くは、足に合わない靴の使用が原因ですが、一部では関節リウマチ・扁平足などが原因である場合も。
ここでは、ハンマートウの原因について、それぞれ詳しく解説します。
足に合わない靴の長年の使用
ハンマートウは、足に合わない靴を長期的に履いていると起こりやすくなります。歩く時に、足指で踏ん張る必要がある状態を長く続けると、ハンマーのような足の形状になるためです。
例えば、ヒールの高い靴を履くと、足が前滑りを起こしやすく足指が緊張し、つま先で踏ん張った形になります。指先に余計な力が入ってしまうと指が曲がった状態で歩くことになり、靴を脱いだ時でも元の形に戻らなくなってしまうためです。
加えて、パンプスやヒールは、足に合った形を選ぶのが難しいことも原因の一つと考えられます。
また、つま先しか覆われていないようなスリッパや、サイズの大きい靴のように踵が固定されていない履き物も、靴が脱げないように足を踏ん張った形になりやすいため、注意が必要です。
関節リウマチ
関節リウマチは、手首・足首などの大きな関節に症状が出て、関節の変形を引き起こす病気です。関節リウマチの症状は足にもみられ、ハンマートウ、外反母趾などの原因となる場合があります。
糖尿病
末梢神経の障害である糖尿病も、ハンマートウの原因になる場合があります。糖尿病では、足裏の感覚が鈍くなることで体のバランスを保つことが難しくなり、足指に余計な力がかかってしまい、足指の筋力バランスが不良になるためです。
扁平足
扁平足(いわゆる土踏まずがない状態)もまた、ハンマートウの原因となることがあります。扁平足になると重心のバランスが崩れ、足指に余計な力を入れてしまうためです。
ハンマートウのセルフチェック方法!靴下選びの前に確認
もしかしてハンマートウかな?と思ったら、セルフチェックしてみましょう。
すぐに確認できるセルフチェック方法を紹介します。
ご自身の足に以下の症状がみられるか、確認してください。
- 親指以外の指が横から見てへの字になっている
- 第2関節の上にタコができている
- 第2関節の上に色素が沈着して黒ずんでいる
- 曲がった足指の関節が硬くなり伸びにくい
- 爪が押されて変形したり、厚くなっている
この中に当てはまる症状があれば、ハンマートウになっているかもしれません。
ハンマートウの予防法
ハンマートウの予防には、足に適した靴と選ぶことが最も重要です。狭すぎず、十分なつま先の空間を持つ靴を着用し、高すぎるヒールは避けましょう。足の指を伸ばせるような五本指靴下も有効です。
足指のストレッチやトレーニングで足の筋肉を強化し、柔軟性を高めることも有効です。特に、足の指を広げるような運動は足の健康を保つのに役立ちます。また、足への過度なストレスを避けるために、適切な体重管理も重要です。
これらの予防策を取ることで、ハンマートウのリスクを減らし、足の健康を守ることができます。
ハンマートウの痛みを和らげる方法と靴下の選び方
ハンマートウは、まだ関節が固まっていない初期症状であれば、歩き方や靴を変えることで改善できる可能性があります。テーピングやインソールの使用・ストレッチも有効です。
ここでは、ハンマートウの痛みを和らげる6つの方法を紹介します。
1.足指を鍛える運動やマッサージを行う
ハンマートウでは、指が曲がっているため、曲げる側の筋肉や腱が伸びにくくなっています。足指を鍛える運動を行い、硬くなった筋肉や腱を伸ばしましょう。
ハンマートウを改善する足指運動を紹介します。
足指を大きく広げる
素足になり、足をリラックスさせた状態で足の指を最大限に広げます。
日常生活の中で、足の指を大きく広げる動作はあまり行わないものです。足指を大きく広げる運動を行い、足の筋力低下を防ぎましょう。
足指を回す
足指を1本1本つまんで、くるくると回したり、ゆっくりと伸ばします。
2.靴を替える
ハンマートウは、足に合わない靴が原因であることは前述した通りです。そのため、日常使用している靴を替えることは、ハンマートウの改善に繋がります。
このとき、指先に負担がかからない靴を選びましょう。履いた時に、足指を動かせる余裕のある形状の靴を選ぶことがポイントです。
ただし、大きすぎる靴は脱げないように足指に力を入れてしまうため、正しいサイズを選びましょう。
3.テーピングを使用する
ハンマートウは足指の変形であるため、硬直する前の状態であればテーピングを使用する方法もあります。テーピングをして足指をしっかりと固定すると、足指が正しい位置に戻り、歩行がスムーズになります。
使用にあたっては整形外科などの専門医に相談されることをおすすめします。
4.インソールを使用する
ハンマートウの改善には、インソールの使用も効果があります。インソールの使用により体重を足全体に分散でき、つま先側の負担が少なくなるためです。
足の形状を整えることで足指が正しい位置になり、使いやすくなると考えられます。シューフィッターのいる靴屋で相談してみましょう。
5.歩き方を改善する
正しい歩き方も、ハンマートウの改善に役立ちます。日頃から、正しい歩き方を意識して行うことが大切です。
歩くときにはまずかかとから着地し、足裏全体に体重をかけ、親指から抜けるようなイメージで(あおり歩行)。腕を後ろに振るよう意識することで、自然と足が前に出るようになります。
正しい歩き方をすると、筋肉が使われるようになり腱が伸びやすくなりますよ。
6.機能的な靴下に替える
ハンマートウの改善には、五本指ソックスなど機能的な靴下に替えることも有効です。五本指ソックスは、足の指が伸びた状態になり指先にかかる力が分散されます。
ハンマートウは、爪先が圧迫されて指が変形されると引き起こされるため、足指の先が伸ばせる五本指ソックスに替えると効果を感じられるはずです。
また、五本指ソックスを履くことで、一般的な靴下では使いにくい小指や薬指も動かしやすくなります。5本の指全体を使い、地面をしっかりと掴めるようになるとバランス感覚の向上につながり、正しい歩行がしやすくなりますよ。
五本指ソックスの中でも、ケアソク〈ととのえる〉のインナー5本指は、隣同士の足指が補助し合って足指を伸ばす構造で、足指を正しい位置に整える効果が期待できます。
ストッキングや一般的な靴下で出かけた日には、家に帰ったら〈ととのえる〉に履き替えて足指を伸ばしてあげるのもおすすめですよ。
まとめ
ハンマートウは、足の指がZ字型に曲がり固まってしまった状態の足のことです。ハンマートウでは指先が曲がることでタコができやすくなり、靴に当たって痛みを感じる人も多くみられます。
ハンマートウの改善方法には、足指を鍛える運動をする、靴を替える、テーピングやインソールを使用する、歩き方を意識するなどがあります。
そして、機能的な五本指ソックスは、つま先への負担を軽減させるためハンマートウには効果が期待できます。足に合った靴選びが大切なように、自身の足に合った靴下も意識してみませんか?
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記事監修

北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠
