どうにかしたい!モートン病で悩む人の靴下選びのコツは?
「足先がピリピリと痛む」「焼けるように足が熱い」といった症状で悩んでいませんか。
モートン病の名前は広く知れ渡ってはいませんが、悩んでいる人はたくさんいます。つらい痛みを放置していると、日常生活にも支障が出てしまうかもしれません。
そこで今回は、モートン病の原因と改善方法を解説していきます。痛みを和らげるエクササイズや靴下の選び方も紹介しましょう。
モートン病とは?靴下選びに役立つ概要と症状を解説
靴下を選ぶ前に、まずはモートン病の特徴と症状を解説します。
モートン病とは
モートン病とは、足指の間を通る神経が足指の付け根で圧迫されて起こる神経障害です。
モートン病になると、足の中指と薬指の付け根部分の神経が刺激され、神経がこぶ状に膨らんでしまいます。痛みが出る部分は、神経の合流地点であるため神経が太く、圧迫を受けやすいことも原因と言われます。
中指と薬指の付け根あたりに神経の合流地点があります。
モートン病は、ハイヒールの常用や中腰の姿勢など、長時間つま先立ちの姿勢でいることで生じやすくなります。これは、つま先立ちによって神経が、骨を連結する靭帯(深横中足靭帯)と地面からの圧力で圧迫されてしまうからです。
診察ではX線(レントゲン)検査が用いられますが、これで異常が確認できるケースは少なく、他の疾患と識別するために行われます。
加えて、超音波やMRI検査で神経の腫れが見つかれば、確実な診断となります。
モートン病の症状
次に、どんな症状が出るのか解説します。モートン病になると、足の中指と薬指の間、足の人差し指と中指の間に、以下のような痛みが表れます。
- 刺すようなピリピリとした痛み
- 熱く焼かれたような痛み
- しびれ・けいれんなどの痛み
特に痛みを感じるのは足を踏み出す時やつま先立ちをした時です。
症状が進行すると、足首や膝にまで痛みが及ぶこともあります。しかし個人差があり、特定の靴を履くと痛みを感じる人から、素足でも痛いという人までさまざまです。
普段と違う足の痛みを感じたら、重症化する前に整形外科などの医療機関を受診しましょう。
モートン病の原因は?靴下を選ぶ前の基礎知識
次に、モートン病になる原因をみてみましょう。
以下の4つがモートン病を引き起こしやすい要因として挙げられます。
- ハイヒールの着用
- 長時間の立位や歩行、中腰での作業
- 前足部に力がかかる運動
- 扁平足
一つずつ詳しくみていきます。
ハイヒールの着用
まず、ハイヒールなどを日常的に履いている人は、モートン病になりやすいと言われます。
つま先が細くヒールの高い靴は、神経が圧迫されやすい形です。
同様に、足に合わない靴も足先に負担がかかります。大きさや形が足に合っていないと、靴の中で足が前滑りしてしまうためです。
長時間の立位や歩行、中腰での作業
次に、長時間の立ちっぱなしや歩行が続くと、足先への負担が大きくなります。接客業などの仕事で、一日中立っているという方は注意が必要です。
また、中腰の姿勢が長い方もモートン病になりやすいと言われます。つま先立ちの姿勢を取っている時間が長いと、発症するリスクが高まるためです。
前足部に力がかかる運動
ジョギングなど、前足部に繰り返し力のかかる運動もモートン病の原因の一つと言われます。筋肉や筋を使い過ぎることにより、炎症が起きるためです。
20代でスポーツをしている人が、モートン病を発症するケースも少なくありません。
扁平足・開張足
最後に、扁平足や開張足もモートン病の原因だと言われます。扁平足は、足裏の縦アーチが崩れた状態、開張足は、横アーチが崩れた状態の足です。
というのも、足の裏は3つのアーチによって支えられ、地面からの衝撃を吸収しています。足裏アーチが崩れた扁平足・開張足では、足が平らな状態になり、足幅が広がって靴が窮屈に感じてしまうのです。
すると、足の指の付け根に負担がかかりやすく、神経が圧迫されてモートン病へと発展します。
モートン病で行われる治療法は?靴下選びの前に知っておこう
では、整形外科でモートン病と診断されると、どのような治療が行われるのでしょうか。
基本的に、整形外科では、痛みやしびれを緩和する保存治療が行われます。保存療法で改善しない状態が続くと、手術療法へと進行することもあります。
ここでは、治療の内容を詳しく紹介します。
痛み止めの薬や湿布の処方
モートン病では、痛みやしびれを和らげるために薬や湿布が処方されます。場合によってはブロック注射・ステロイド注射が行われることもあるでしょう。
靴を変える
次に、靴を変えることをアドバイスされるケースです。
モートン病の痛みが、合わない靴の長時間着用によるものだと分かっている場合は、その原因を取り除くためです。
例えば、ハイヒールを履いている人なら、つま先立ちの姿勢は負担がかかりやすいためヒールの低いパンプスに変えることをすすめられることもあるでしょう。つま先が圧迫されない、ゆとりのある靴に変えるのは有効です。
インソールを使う
また、足裏アーチをサポートするインソールの使用をすすめられることがあります。痛みがひどい時には、靴の中にインソールを入れて調節するのは効果的です。
けれど、狭い靴に無理やりインソールを入れると、逆に神経が圧迫されるため、サイズ選びが重要になります。インソールを買う場合は、専門店で相談するのがおすすめです。
モートン病に効果があるセルフケアは?エクササイズと靴下がおすすめ
モートン病の痛みを緩和するセルフケアがあったらいいと思いませんか。少しでも、つらい痛みを改善して痛みを感じることなく生活したいですよね。
ここからは、自宅でできる痛み緩和のためのエクササイズ方法と、靴下の選び方について解説します。
自宅でできる足のエクササイズ
モートン病は、足の横アーチが整うことで神経の圧迫が軽減されるため、足の筋力不足を補ってアーチを改善し、痛みを和らげていきます。
そのために自宅でできるエクササイズを紹介します。特別な準備は必要なく、簡単にできる方法ですから、是非やってみてください。
【足のエクササイズ】
タオルギャザー
- 椅子に座って床にタオルを置き足を乗せる
- タオルを足の指で手前にたぐり寄せる
- 左右、10回ずつ繰り返し行います
ポイントは、踵でタオルを押さえて固定してから指を使うことです。
毎日、5分程度行いましょう。
足の指が動きやすい靴下
モートン病のつらい痛みを緩和するには足先を圧迫せず指先を広げることです。そのためには一般的な先の丸い靴下(先丸靴下)よりも、足の指が動きやすく締め付けが少ない5本指ソックスがおすすめです。足指を活発に動かし、しっかり蹴り出すことで、アーチを整えるための筋肉が使いやすくなります。
「改善するためにはなるべく動かさないように」と病院で言われても、仕事でどうしてもたくさん歩かなければならない日もありますね。そんなときにおすすめなのが5本指ソックスです。
まとめ
モートン病は、足の指の付け根の神経が圧迫されて起こる神経障害です。ハイヒールの着用や長時間の立ち姿勢などが原因だと言われています。
病院で行われる治療法は、湿布を処方される、インソールを使うといった保存療法が主です。
つらい痛みを改善するには、足のエクササイズを行ってみてください。足指が自由に動き、締め付けが少ない5本指ソックスの使用もおすすめです。
5本指ソックスを履くと、地面に向けて足指のグリップが利きやすくなります。足元を安定させ、つま先にかかる負担を少しでも軽減させましょう。
記事監修

北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠
