外反母趾の痛みは寝る時のテーピングで緩和!夜間の効果と正しい巻き方を解説
日中、靴を履いていると感じる外反母趾のつらい痛み。「夜、寝ている間に少しでもこの痛みが和らげられたら……」そう考えたことはありませんか?実は、就寝中の時間を利用したテーピングは、外反母趾のセルフケアとして有効な方法の一つです。
日中の活動をサポートするテーピングとは異なり、夜間のテーピングには、足指を休ませながら一時的な痛みの軽減効果があります。この記事では、なぜ寝る時のテーピングが効果的なのか、その理由と、誰でも簡単にできる正しい巻き方、そして安全に行うための注意点を詳しく解説します。
この記事の目次
なぜ?外反母趾に寝る時のテーピングが効果的な理由
日中にテーピングをすると、靴が窮屈に感じたり、歩きにくさを感じたりすることがあります。その点、夜間は足に体重がかからず、靴による圧迫もないため、テーピングによるケアに最適な時間と言えます。
日中、私たちの足は体重を支え、靴の中で圧迫され続けています。特に外反母趾の方は、この圧力によって親指が「くの字」に曲がる力が常に加わっている状態です。
寝る時にテーピングを行うことで、この日中の負担から足指を解放し、一時的な痛みの軽減効果が期待できます。
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昼用と夜用で違う?テーピングの目的と選び方
テーピングは、日中に行う場合と夜間に行う場合で、その目的が少し異なります。
日中のテーピング |
寝る時(夜間)のテーピング |
|
主な目的 |
・歩行時の衝撃緩和と痛みの軽減 |
・足指の位置矯正 |
巻き方の特徴 |
動きを妨げないように、サポート主体で巻く |
矯正力を意識し、持続的に優しく引っ張る |
期待される効果 |
活動中の快適性を高める |
痛みの緩和、変形の進行予防 |
このように、目的が異なるため、巻き方の力加減なども変わってきます。今回は、夜間の「矯正」と「リセット」を目的としたテーピング方法に絞って解説します。
寝る時の外反母趾テーピングの正しい巻き方
それでは、実際のテーピングの巻き方を手順に沿って見ていきましょう。
準備するもの:伸縮テープ
ドラッグストアなどで購入できる、5cm幅の伸縮テープを用意します(キネシオテープなど)。
5cm幅のテープを15cm程度の長さに切ります。その幅を真ん中で半分に切って、2.5cm幅にします(写真右側)。また、テープを足囲を一周できる程度の長さに2本切っておきます(写真左側)。
かぶれやすい方は、低刺激性のものを選ぶと良いでしょう。テープの角を丸く切っておくと、剥がれにくくなります。
写真は両足分です。
手順1:親指を開くテープを貼る
親指の位置を矯正するためにテーピングで親指を開きます。
まず、2.5cm幅に切ったテープを使って、足の親指の内側の側面にテープの端を貼り付けます。


そこからテープを軽く引っ張りながら親指を優しく外側に開き、そのまま内くるぶしに向かって軽く引きながら、テープを真っすぐ貼ります。

ポイントは、親指が「気持ちよく伸びる」程度の力で引っ張ることです。痛みを感じるほど強く引っ張らないように注意しましょう。
手順2:横アーチを支えるテープを貼る
外反母趾の根本原因である「開張足(足の横幅が広がる状態)」をサポートするためのテープです。
足囲を一周できる程度の長さに切ったテープの端を足裏の親指の付け根、少し下あたりに貼り付けます。

そこからテープを軽く引き上げて、横アーチを持ち上げながら締めるイメージで甲の部分を通り、ぐるっと一周させ、甲の部分で止めます。


足の大きさによってテープの長さは調節してください。このテープによって足底のアーチが支えられ、親指が開くのを助ける効果が高まります。テープを締めすぎると血流の低下や痛みが増強する場合もあるため、適度な強さで締めましょう。

夜間テーピングの効果を高める3つのポイント
テーピングの効果をより実感するために、以下の3つのポイントも意識してみてください。
毎日継続して行う
テーピングは、一度行えばすぐに治るというものではありません。日中の生活でどうしても足には負担がかかるため、その日の負担をその日のうちに軽減する、という感覚で毎晩コツコツと続けることが何よりも大切です。
テーピングと合わせて足裏の筋肉をほぐす
テーピングで外からのサポートをしつつ、足裏の筋肉をほぐしましょう。外反母趾の方は、母趾内転筋(ぼしないてんきん)という横方向と斜め方向に走っている筋肉が硬く縮んだ状態になっています。筋肉の流れに対して90度の角度から、ぐーっと指でほぐして足の緊張をほどいてあげましょう。お風呂など、筋肉があたたまっている状態で行うのが効果的です。

日中の靴を見直す
夜間にいくらケアをしても、日中に足に合わない靴を履いていては、効果は半減してしまいます。つま先が広く、指が自由に動かせる靴を選ぶ、ヒールの高すぎる靴は避けるなど、日中の履物を見直すことが、夜間ケアの効果を最大限に引き出します。
【関連記事】つま先の痛みを今すぐ解決!靴選びのポイントとリスク回避法 | コラム「足のちえぶくろ」 | ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
寝る時のテーピングで注意すべきこと
安全にテーピングを続けるために、以下の注意点を必ず守ってください。
強く引っ張りすぎない
テープを強く引っ張りすぎるのは逆効果です。血行不良の原因になったり、痛みが増したりすることがあります。あくまで「優しく正しい位置に導く」という意識で、気持ちの良い範囲の強さに留めましょう。
肌にかゆみや発疹が出たら中止する
テープの粘着剤によって、皮膚がかぶれたり、かゆみが出たりすることがあります。肌に異常を感じた場合は、すぐにテーピングを中止しましょう。症状が長引くようであれば皮膚科を受診してください。
痛みが悪化する場合は無理しない
テーピングをしたことで、かえって痛みが増す、あるいは痺れが出るなどの症状が現れた場合は、巻き方が合っていないか、症状が進行している可能性があります。無理に続けず、一度整形外科などの専門医に相談しましょう。
テーピング以外の夜間セルフケア
テーピングが肌に合わない、あるいはもっと手軽な方法を試したいという方には、以下のような選択肢もあります。
ケア用品 |
特徴 |
夜間用サポーター |
就寝中に使用する装具タイプ。日中のものより矯正力が強い製品が多く、睡眠中に持続的に親指を正しい位置に保持することで、関節が固まるのを防ぎ、痛みを緩和する効果が期待できる。 |
足指パッド |
シリコンなどの柔らかい素材で、指の間に挟んで使う。指同士が重なることで生じる圧迫や摩擦を軽減し、痛みを和らげるのが主な目的。 |
使用する際は、就寝前に足を清潔にし、痛みを感じない程度に使用しましょう。もし痛みや違和感が強い場合は、使用を中止し、専門医に相談することをおすすめします。
夜間用サポーター
夜間用サポーターは、就寝中に親指を正常な位置に保持することを目的とした装具です。日中に使用するものとは異なり、歩行を想定していないため、より強い矯正力を持つ製品が多いのが特徴です。
期待できる効果としては、睡眠中に持続的に親指を外側に開くことで、関節の拘縮(こうしゅく:関節が固まって動きにくくなること)を防ぎ、痛みを緩和することが挙げられます。軽度の外反母趾で、まだ指が手で元の位置に戻せる段階であれば、特に予防や拘縮を防ぐ上で有効とされています。
夜間用サポーターを選ぶ際は、いくつかのポイントがあります。まず、矯正力の調整が可能かどうかです。マジックテープ式などで固定の強さを自分で調整できるタイプなら、無理なく続けることができます。また、素材も重要で、通気性の良いメッシュ素材などは、長時間の装着でも蒸れにくく快適です。
夜間用サポーターにはハードタイプやソフトタイプなどがありますが、使用する際は専門医に相談することをおすすめします。
足指パッド
足指パッドは、シリコンなどの柔らかい素材でできており、足の指の間に挟んで使用するセルフケアグッズです。主に親指と人差し指の間に装着することで、重なった指を正しい位置に戻すサポートをします。
このパッドを使用する主な目的は、指と指が重なることで生じる圧迫や摩擦を軽減し、痛みを和らげることです。さらに、指の間を広げることで、窮屈になっていた足指を開放し、リラックスさせる効果も期待できます。素材はぷにぷにした感触のシリコン製が多く、洗って繰り返し使えるため衛生的に使用できます。
足指パッドを選ぶ際には、まず素材の柔らかさが重要です。長時間装着するため、肌に優しく、違和感の少ないものを選びましょう。また、自分の足指の形や指の間の広さに合った形状のものを選ぶことも大切です。様々な形の製品が市販されているため、いくつか試してみるのも良いでしょう。
使用上の注意点としては、装着した際に痛みや強い違和感を覚える場合は、使用を中止してください。また、製品によっては日中の使用を推奨していないものもあるため、就寝時に使用可能かどうかを事前に確認することが重要です。清潔に保つために、定期的に洗浄することも忘れないようにしましょう。
まとめ:夜間テーピングを習慣にし、痛みのない朝を迎えよう
外反母趾のケアは、日中だけでなく、寝ている間の時間も有効に活用することができます。夜間のテーピングは、日中に負担がかかった足指を休ませながら、一時的に痛みを軽減するシンプルで効果的なセルフケアです。
今回ご紹介した正しい巻き方と注意点を守り、毎日の習慣として取り入れてみてください。
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記事監修
北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠


