ふくらはぎの内側が痛いときの原因と予防方法、受診の目安までわかりやすく紹介
ふくらはぎの内側が痛くて、歩くのもつらく仕事や家事に集中できない。そんな悩みを抱えていませんか。
長時間の立ち仕事や運動の後だけでなく、日常生活でも痛みや違和感を覚えることがあると、不安になりますよね。実は、ふくらはぎの痛みには、筋肉疲労や女性特有の要因も関係していることが多いのです。
そこで今回は、ふくらはぎの内側が痛む原因と、痛みを和らげる対処法や予防策について詳しく解説していきます。
ふくらはぎの内側が痛いときの主な原因
ふくらはぎの内側に痛みを感じるとき、その原因はさまざまです。ここでは、特に考えられる主な原因について、以下の3点に分けて解説していきます。
- 筋肉疲労や筋肉痛
- シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
- 下肢静脈瘤
それぞれについて、詳しく解説していきます。
筋肉疲労や筋肉痛
長時間の立ち仕事や、急に普段やらない運動を始めたときにふくらはぎが痛くなることがあります。
筋肉が普段以上に使われたことで疲労し、筋繊維に微細な損傷が生じているためです。特に、運動不足の方が急に体を動かした場合や、いつもより長時間歩いたときなどに起こりやすい症状です。
このタイプの痛みは、動かした直後や翌日に感じやすく、時間が経つにつれて回復することが多いですが、痛みが強い場合は無理せず休みをとることが大切です。
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
ランニングやジャンプのような繰り返しの動作によって、ふくらはぎの内側やすねの骨(脛骨)に強い負担がかかると、炎症が生じやすくなります。
特に、初心者や運動を久しぶりに再開した方、運動強度を一気に上げた方に見られる症状です。シンスプリントが原因の場合、足を使うたびにズキズキとした痛みが出やすく、放置すると悪化しやすいので、痛みを感じたら安静を保つことが重要です。
下肢静脈瘤
ふくらはぎの血液を心臓に戻す静脈には、逆流を防ぐ弁が備わっていますが、この弁が機能しなくなると、血液が下に溜まってしまい静脈が拡張します。
これが下肢静脈瘤と呼ばれるもので、立ち仕事や座り仕事で同じ姿勢を長時間続けている人に起こりやすいです。ふくらはぎがむくんだり、痛みやだるさが現れたりすることがあり、見た目に静脈が浮き出てくることもあります。
血液の流れが悪くなると症状が悪化しやすいので、定期的に足を動かしたりマッサージを取り入れるのが予防になります。
ふくらはぎの内側の痛みを和らげる対処法
ふくらはぎの内側に痛みを感じたとき、少しでも楽にするための対処法を知っておくと安心です。ここでは、特に効果的な方法として以下の3つのポイントについて解説していきます。
- 睡眠と休息
- ストレッチとマッサージ
- 適切な靴を選ぶ
それぞれについて、詳しく解説していきます。
睡眠と休息
ふくらはぎに痛みが出た場合、まず最初に試してほしいのが十分な休息です。立ち仕事や長時間の歩行で足を使いすぎると、筋肉が疲労して痛みを感じやすくなります。
こうした痛みは、無理な動きや負担が原因で筋肉がダメージを受けているため、しっかり休むことが重要です。
また、夜の睡眠時間をしっかり確保することも、筋肉の回復をサポートします。足を高くして寝ると、血液の循環がよくなり、むくみが取れやすくなるため、回復を早めることができます。自宅で過ごすときには、リラックスできる体勢で足を休めるよう心がけましょう。
足を上げた状態で足首を上げ下げするエクササイズはむくみの予防にも。
ストレッチとマッサージ
ふくらはぎの筋肉を緩め、血流を促進するために、ストレッチやマッサージは効果的です。
たとえば、椅子に座った状態で、足首をゆっくり回したり、つま先を上に向けてかかとを伸ばすようなストレッチを行うと、筋肉が伸びて緊張がほぐれます。
また、ふくらはぎ全体を両手で軽く揉みほぐすことで血流が促進され、溜まった疲労物質が流れやすくなります。特に痛みがひどい場合には、無理に強くマッサージせず、優しく撫でるように行うことがポイントです。
日々のケアとしてストレッチやマッサージを習慣化すると、ふくらはぎの柔軟性が高まり、痛みの予防にも役立ちます。
適切な靴を選ぶ
日常的に履く靴は、ふくらはぎの健康にも大きな影響を与えます。自分の足にフィットし、しっかり足をサポートする靴を選ぶことで、ふくらはぎにかかる負担を減らすことができます。
足に合わない靴やヒールの高い靴は、歩く際にふくらはぎに負担がかかりやすくなるため、痛みの原因になることがあります。できるだけ足に優しい靴を選び、日常生活での足の負担を軽減することが大切です。
特に立ち仕事や歩く時間が長い方には、靴のインソールやクッション性にも注目して、足全体に均等に負担がかかる靴を選ぶと良いでしょう。適切な靴を選ぶことで、ふくらはぎの痛みを予防し、快適な日常生活が送れるようになります。
ふくらはぎの内側が痛いときは病院を受診すべき?
ふくらはぎの内側に痛みを感じる場合、軽いものであれば自然に治ることもありますが、特定の症状がある場合は医師の診察を受けることが大切です。
以下のようなケースに当てはまる場合は、早めに専門医に相談しましょう。
- 痛みが長時間続く場合
- 腫れや熱がある場合
詳しく解説していきます。
痛みが長時間続く場合
ふくらはぎの内側に痛みが数日以上続き、安静にしても改善しない場合は、筋肉や腱、骨などに炎症や損傷が起きている可能性が考えられます。
このような痛みが長引くと、筋肉が緊張したままになり、他の部位への負担も大きくなりがちです。慢性的な痛みが続くことで、日常生活に支障をきたす場合も多く、悪化すると歩くのもつらくなる可能性があります。
特に、同じ場所に痛みが集中している場合や、何度も痛みが再発するようであれば、放置せずに専門医に相談しましょう。原因を特定することで早めの治療ができ、さらなる悪化や慢性化を防ぐことができます。
腫れや熱がある場合
痛みだけでなく、腫れや熱感がある場合には、炎症を起こしている可能性があります。
腫れや熱感がある場合は、できるだけ早急に医師の診断を受けましょう。
ふくらはぎの内側が痛くならないための予防策
ここでは、ふくらはぎの内側が痛くならないための予防策について、以下の3点を解説します。
- 適度な運動
- バランスの良い食事
- 適切な体重管理
それぞれについて、詳しく解説していきます。
適度な運動
日常的に軽い運動を取り入れることで、ふくらはぎの筋肉を強化し、血行を促進することができます。
ウォーキングやストレッチなど、負担が少なく、気軽にできる運動は、足への負担を軽減し、筋肉の柔軟性を保つのに役立ちます。特にふくらはぎは歩行時に重要な役割を果たすため、定期的に使うことで筋力を維持し、疲れにくい状態を保つことができます。
さらに適度な運動は全身の血流を促進する効果があり、むくみや血流不足による痛みの予防にも効果的です。週に数回のウォーキングや、就寝前に軽いストレッチを行うなど、無理なく続けられる運動を心がけましょう。
バランスの良い食事
筋肉の健康を維持し、血流などの循環を良くするためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
ビタミンCやビタミンEは血管の健康を保ち、ふくらはぎをはじめとする下半身の血流をサポートします。さらに、カリウムやマグネシウムといったミネラル類は筋肉の正常な機能を支えるため、疲労が溜まりにくい体作りに貢献します。
また、筋肉の強化や修復にはたんぱく質が重要な役割を果たすため、肉や魚、豆類などを積極的に取り入れることが大切です。食生活の改善を通して、ふくらはぎの健康を体の内側からサポートし、痛みを予防しましょう。
適切な体重管理
体重が増えると足にかかる負担が大きくなり、ふくらはぎや足全体に圧力がかかりやすくなります。その結果、筋肉や関節に過剰な負担がかかり、痛みや疲労を感じやすくなることもあります。
適正体重を維持することは、ふくらはぎにかかる負担を軽減し、足が疲れにくくなることにもつながります。無理のない範囲で体重を管理し、規則的な生活習慣や食事に気を配ることで、長期的な痛みを予防していきましょう。
日々の健康管理がふくらはぎの負担を減らし、痛みを感じにくい生活をサポートしてくれます。
女性特有の要因と注意点
ふくらはぎの痛みやむくみには、女性特有の要因が関係することがあります。ここでは、以下の2つの要因について解説します。
- 妊娠中のむくみや痛み
- 月経周期との関連
1つずつ見ていきましょう。
月経周期との関連
月経周期の中で、特に月経前の黄体期にはホルモンの変動が大きくなり、女性の体内でさまざまな変化が起こります。この時期にはプロゲステロンの分泌が増加し、体内の水分を保持しやすくなるため、むくみが発生しやすくなります。結果として、ふくらはぎや足の重だるさ、痛みが出やすくなることがあります。
さらに、エストロゲンの影響で血管が拡張し、血液が一時的に足にたまりやすくなるため、ふくらはぎのむくみや張りを感じる女性もいます。月経が始まるとこれらの症状が軽減されることが一般的ですが、特に症状が重い場合は軽いストレッチやむくみ改善のマッサージを行うことで痛みの軽減が期待されます。
まとめ
ふくらはぎの内側の痛みを防ぐには、適度な運動やバランスの良い食事、足に合った靴選び、そして適切な体重管理が大切です。また、妊娠中のむくみや月経周期の影響など、女性特有の要因も意識してケアを行うことで、ふくらはぎの健康を保つことができます。
本記事でご紹介した足ケアのコツを日常に取り入れ、足の負担を軽減してみてはいかがでしょうか。
足指をしっかり使って歩くこともふくらはぎのむくみの改善に有効です。五本指靴下をはいて足指を使うことでふくらはぎの活動を促し、血流の循環も改善しましょう。
足裏の横アーチをしっかり支える五本指靴下〈ととのえる〉も、毎日のケアにおすすめです。足の健康を守るために、ぜひ〈ととのえる〉をお試しください。
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記事監修

北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者: 株式会社 山忠
