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みんなが気になる、認知症予防・介護予防。その効果的な方法とは!? 真剣レポート!

ケアソク(株式会社山忠)のある新潟県加茂市で、「あなたが決める加茂市の未来」と題して健康講演会が開催されました。そこで現代の重要なモンダイについてのお話が……!

多くの自治体が抱える医療費モンダイ

高齢化が進む中、増え続ける医療費、介護費は加茂市特有の問題ではなく、今や多くの自治体が同じ問題を抱えています。それをどう解決していけばいいのか……?

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今回は、埼玉県志木市で健康づくりの指針を作っている山下和彦先生(左)による講演。聞き手は一般社団法人ライフロングウォーキング推進機構の白倉重樹氏(右)。ウォーキングの市民団体を応援し、一緒に健康研究をしています。

医療費データを分析すると、一般的に人口全体の2割の人が、8割の医療費を使っています。中でも特に、糖尿病・高血圧・脂質異常などの慢性疾患、いわゆる「生活習慣病」に多くの医療費がかかっていることに着目。

山下先生によれば、
「病気になって医療費を使うこと自体は全く問題ない。問題なのは、予防できる可能性がある病気に何の対策もせず、生活を変えることもなく、病名が付いてから治療に通う人がたくさんいること。生活習慣病は長い時間をかけてその状態になるので、病院で完治することは難しい。長期間治療に通い続けることで、その間ずっと医療費を使い続けることになる……。
生活習慣を変えることで予防改善できる病気は多い。医療費を削減したいのであれば、ひとりひとりの健康度を上げることです。」
とのこと。おっしゃる通りですね。

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介護される側にならないために

医療費と同様に介護費も増えています。「高齢化」が問題視されていますが、高齢者が増えることが問題の本質ではなく、本当の問題は「人口減少」です。今後、高齢化で介護人口がどんどん増えていくのに、若い人が少ないのだからサポートできる人がそもそもいなくなる。
だからこそ!!
いつまでも健康で元気でいることが必要なのです。

介護が必要になる入口の大きい要因は2つ。
1.関節疾患(変形性股関節症、膝関節症、変形性腰椎症、骨粗鬆症などなど)
2.転倒骨折

例えば、関節疾患などにより痛みが出ると、

外出が億劫になり、家にこもりがちに

筋力低下、血行不良、歩幅が減少、足がもつれやすくなる……

転倒骨折

寝たきり、うつ、(要介護)

認知症 ……これがまさに負のスパイラル。

ここからもわかるように、体を動かして筋力を保ち、自分の足でいつまでも歩けることが、一番の認知症予防・介護予防なのです。

「見える化」システムで成功したウォーキング企画事例!

そもそも医療機関は病気の治療をするところであり、健康度を上げるところではない。健康度を上げるには、個人個人の意識改革が必要です。

そこで、埼玉県志木市での取り組みをご紹介します!

志木市の健康政策課が主催する健康増進プログラムは、40歳以上を対象とし、1000人でスタートしたのち毎年500人ずつ増え、4年目になる今は3000人が参加しています。驚くべきは、参加者の80%以上が毎年継続して参加していること。

なぜ、こんなにたくさんの人が続けられるのでしょうか? そこには、自分のがんばりが「見える化」されるシステムがありました。

参加者には「歩数計」が無償で貸し出され、市内に約30か所ある専用端末にかざすだけで、商品券などと交換できるポイントを獲得できるのです。

専用端末がある場所はスーパーや駅、病院等なので、日常生活のついでにちょっと寄り道すれば達成感を味わえるのがいいところ。これなら確かに続けたくなりますね。

また、過去5回開催された志木市の「ノルディックウォーキング全国大会」は、今では全国で一番大きな大会となっています。

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志木市のノルディックウォーキング大会にはケアソクも協力しています!

志木市ではこのプロジェクトを続けたことで、後期高齢者の医療費が削減、慢性疾患の医療費も減少、さらに睡眠障害に関わる医療費までも減少しているとのこと。
「ウォーキングが効く!」ことがデータで証明されました。

実際に、参加者からは、
・外出頻度が増えた
・車や自転車から歩くことに変化した
・歩数や体重への関心が高まった

という声が多く聞かれているそう。これは明らかに、健康に対する意識改革ができている結果ですね。

自分の足を知ろう!

ところで、今回の講演会では、足の健康度を知るために足の計測会を同時開催。足底圧計測と足指力測定に、「こんなこと初めてやるわ~」と言いながら、みなさん真剣に取り組んでいました。

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計測器に立っていただき、足圧分布を測っています。

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こちらは足指力を計測中。足指を「グー」にして計りますが、慣れないとなかなか難しい。

この結果を山下先生が解説。改めて自分の足を見たり、隣の人と見せ合ったりして、自分の足の健康度を知るいい機会になったようです。

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講演後のアンケートからも、今回のテーマの関心の高さがうかがえました。
「次回実施を楽しみにしています!」「協力、応援させて下さい!」という、うれしいお声も。

雪深く、車社会の新潟・加茂で、埼玉県志木市のようなプロジェクトを成功させるためには、また別の課題が出てくるかもしれません。
しかし、たくさんの人が「生涯自分の足で歩ける」ために、これからもケアソクは協力していきたいと思います!

2019年8月26日
加茂市 健康講演会「あなたが決める加茂市の未来」

講演者:
山下 和彦氏(工学博士)
了徳寺大学 教養部 教授
たかせクリニック 地域医療研究部 部長
専門分野/生体医工学、高齢者福祉工学、発達工学、医療情報学

白倉 重樹氏(工学博士MBA)
一般社団法人ライフロングウォーキング推進機構 代表理事
株式会社Plugnauts 代表取締役
専門分野/無機材料工学、繊維材料工学、マーケティング、企業経営学


※加茂市健康講演会の2回目、3回目のレポートは下記リンクからご覧いただけます。

加茂市健康講演会2回目
→参照記事:自分の足を見てみよう! 元気に歩き続けるための足チェック講座

加茂市健康講演会3回目
→参照記事:自宅でできる! 自分でできる! フットケア実践編

編集スタッフ:高木