高齢者の足のむくみは病気のサイン?安全にできるセルフケアと予防法
高齢者の足のむくみは、ふくらはぎの筋力低下や水分不足といった日常的な要因から起こる場合と、心臓や腎臓などの疾患が隠れている場合に分かれます。本記事では、高齢者特有のむくみの原因を整理したうえで、自宅で安全に取り組めるマッサージなどのセルフケア方法を解説します。
この記事の要約
- 高齢者のむくみの原因のひとつとして、筋力低下や水分不足が考えられる
- セルフケアには、足首回しや足を高くして休む方法、優しいマッサージが効果的である
- 予防策として、こまめな水分補給、塩分制限、着圧ソックスの活用が推奨される
- マッサージを行う際は強い力を避け、皮膚を傷つけないよう優しくさする
高齢者の足がむくむ主な原因
高齢者の足のむくみは、加齢に伴う身体機能の変化や生活習慣のほか、病気が原因となっているケースに大別されます。
原因の分類 |
具体的な要因 |
身体機能の低下 |
ふくらはぎの筋力低下、慢性的な水分不足 |
その他 |
疾患や薬の影響 |
ふくらはぎの筋力低下によるポンプ機能の低下
高齢になるとふくらはぎの筋肉が衰え、血液を心臓へ送り返すポンプ機能が低下して足に水分が滞留しやすくなります。立っているときや座っているときは重力の影響で血液が下半身に溜まりやすく、心臓へ押し戻すには十分な筋力が必要です。運動不足で歩く機会が減るとこのポンプ機能がさらに働きにくくなり、夕方にかけて足がパンパンに張る状態につながるのが一般的です。
水分不足と長時間の同じ姿勢
高齢者は、座ったままテレビを見るなど長時間同じ姿勢で過ごすと、ふくらはぎの筋ポンプ作用が働かず、下半身に血液や水分がたまりやすくなります。
また、高齢者は喉の渇きを感じにくく、トイレの回数を減らすために意識的に水分を控える傾向があるため、脱水や血流の悪化を招きやすい点にも注意が必要です。
疾患や薬の影響
高齢者の場合、疾患を抱え薬を服用している場合もあるため、むくみがひどい場合には、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
高齢者でも安全にできる足のむくみセルフケア
自宅でのセルフケアは、転倒のリスクがなく、皮膚や血管に負担をかけない優しい方法を選ぶのが原則です。
ケアの種類 |
実践のポイント |
ストレッチ |
椅子に座って足首を回し、筋肉を動かす |
安静時の姿勢 |
足の下にクッションを置き、心臓より高くする |
マッサージ |
保湿剤を使い、足先から上に向かって優しくさする |
足首回しやふくらはぎの軽いストレッチ
椅子に座ったまま、あるいは仰向けの状態で足首をゆっくり回すことで、ふくらはぎの筋肉が刺激されて血流の改善につながります。
つま先をピンと伸ばしたり、逆に手前に反らせたりする動きを繰り返すだけでも、筋肉のポンプ機能が活性化する仕組みです。立って行うストレッチは転倒リスクを伴うため、高齢者の場合は安定した姿勢で行える方法を選ぶと安全です。
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心臓より足を高くして休む(挙上)
就寝時や日中の休憩時に、足元にクッションや丸めた毛布などを置き、足を心臓より10cmほど高い位置に保つとむくみが和らぎます。重力を利用して足にたまった血液や水分を上半身に戻す効果が期待できます。
ただし、足を高くしすぎると腰や膝に負担がかかるため、無理のない高さに調整し、長時間同じ姿勢を続けないよう注意が必要です。
摩擦を減らした優しいマッサージ(さすり上げ)
足先から膝に向かって、手のひら全体で優しくさすり上げるマッサージが血液やリンパの巡りを助けます。高齢者の皮膚は薄く乾燥しやすいため、強い力で揉むと内出血や皮膚トラブルの原因になりかねません。保湿クリームやオイルを使って摩擦を減らし、皮膚の表面をなでる程度の軽い圧力で行っていくとよいでしょう。
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日常生活で取り入れたいむくみの予防策
日々の生活習慣を少し見直すだけでも、足の水分滞留を防ぎ、だるさを軽減する効果があります。
予防の観点 |
具体的なアクション |
飲食の工夫 |
こまめな水分補給、塩分の過剰摂取を控える |
衣類・環境 |
弾性ストッキング・機能性靴下の着用 |
運動習慣 |
日常的な歩行、座ったままの足踏み |
こまめな水分補給と適度な塩分制限
むくみ予防には、1日を通してこまめな水分補給と、塩分の過剰摂取を控える食生活が大切です。塩分をとりすぎると、体内の塩分濃度を薄めようとして体が水分を溜め込みやすくなります。減塩醤油や出汁の旨味を活用して食事の塩分を抑えつつ、起床時や入浴前後など、時間を決めて水分をとる習慣をつけることが予防につながります。
弾性ストッキング・機能性靴下で血流をサポート
ふくらはぎに適度な圧力をかける弾性ストッキング(着圧ソックス)を履くと、血液の滞りを防ぐ効果が期待できます。ただし医療用の弾性ストッキングは圧が強く、着脱に力がいることも少なくありません。
日常的に取り入れるなら、締め付けがやさしく肌あたりのよい機能性靴下を選ぶと、高齢者でも無理なく続けられます。足の指がしっかり接地するよう設計された靴下は歩くときの重心バランスをととのえ、保温性のある靴下は足元の冷えを防いで巡りを後押しします。
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日常的な軽い歩行や足踏み運動
無理のない範囲で日常的に歩く機会を作ることが、ふくらはぎの筋力維持とむくみ予防に直結します。外を歩くのが難しい日や足腰に不安がある場合は、椅子に深く座った状態で足踏みをするだけでも筋肉を動かすことが可能です。家事の合間やテレビを観ながらなど、短い時間でもこまめに足を動かす習慣をつけると効果的です。
医療機関への相談を検討したいむくみのサイン
セルフケアを続けてもむくみが引かない場合や、いつもと違う様子が見られる場合は、念のため早めに医療機関へ相談すると安心です。以下のようなサインがあるときは、自己判断でケアを続けず、かかりつけ医などに相談する目安にしてください。
相談を検討したいサイン |
ワンポイント |
片足だけが急にむくむ |
赤みや痛みを伴うときは早めに |
息切れや胸の重さを伴う |
動いたときや横になったときの息苦しさに注意 |
押した痕がなかなか戻らない |
数日続くようなら相談を |
片足だけが急にむくんできたとき
両足ではなく片足だけが急にむくみ、赤みや痛みを伴う場合は、放置せずに早めに医療機関へ相談すると安心です。こうしたときは強いマッサージは控え、まずは足を休めるようにしましょう。手術のあとや長く寝て過ごした後などにも起こりやすいため、気になる変化があれば早めの相談を心がけてください。
息切れや胸の重さを伴うとき
足のむくみと同時に、少し動いただけで息切れがする、横になると息苦しい、胸に重さを感じるといった様子があるときは、体からのサインかもしれません。
むくみだけでなく全身の状態が気になる場合や、症状が続くときは、無理をせず早めにかかりつけ医や専門の医療機関へ相談しましょう。気になる症状が続くときは、そのままにせず専門の医療機関で診てもらうと安心です。
指で押した痕がなかなか戻らないとき
すねや足の甲を指で10秒ほど押し、手を離してもへこみがなかなか戻らないときは、一度医療機関で相談してみるとよいでしょう。一時的なむくみであれば、指を離すとすぐに皮膚が戻るのが一般的です。へこみが残る状態が続くようであれば、念のためかかりつけ医に相談していくと安心です。
まとめ
高齢者の足のむくみは、ふくらはぎの筋力低下や水分不足など、日常的な要因で起こることが多いものです。足首回しや優しいマッサージ、足を高くして休むといったセルフケアに加え、水分補給や機能性靴下などを取り入れると、特別な道具がなくても足元から巡りをサポートしやすくなります。
大切なのは、負担の少ない方法を毎日無理なく続けることです。むくみが引かないときや、片足だけの急なむくみ・息切れなど気になるサインがあるときは、無理をせず早めにかかりつけ医へ相談しましょう。
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- ケアソク〈ととのえる〉の研究開発者インタビュー
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記事監修
北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者
株式会社 山忠
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