更年期のかかとの痛みはホルモンが原因?何科に行くべきかと対策を解説
朝起きてベッドから降り、最初の一歩を踏み出した瞬間に「かかとが痛い!」と感じて驚いたことはありませんか。あるいは、長時間座って仕事をした後に立ち上がろうとして、足裏に激痛が走った経験をお持ちの方もいるかもしれません。40代から50代の女性にとって、このような足のトラブルは決して珍しいことではなく、実は更年期特有の体の変化と深く関わっていることが多いのです。
この記事では、更年期にかかとの痛みが生じるメカニズムや、それが「足底腱膜炎」などの症状である可能性について詳しく解説します。また、整形外科と婦人科のどちらを受診すべきかの判断基準や、自宅ですぐに取り組めるストレッチ、靴選びのポイントなども具体的にお伝えします。読み終わる頃には、痛みの原因がクリアになり、明日からの一歩を軽くするための具体的なアクションが見えてくるはずです。
更年期にかかとが痛むのはなぜ?意外な原因
「どうして急にかかとが痛くなるの?」と不思議に思う方も多いでしょうが、実は更年期の体の中で起きている変化が、足の裏に大きな影響を与えています。ここでは、女性ホルモンの減少がもたらす足への影響や、体重変化との関係、そして疑われる病気について詳しく見ていきます。以下の表に、更年期のかかとの痛みの主な要因を整理しましたので、まずは全体像を確認してみてください。
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要因 |
具体的な影響 |
痛みの特徴 |
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ホルモン減少 |
コラーゲンが減り、腱や関節が硬くなる |
起床時や動き始めに痛む |
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体重増加 |
足裏にかかる物理的な負荷が増える |
長時間の歩行後に痛む |
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足底腱膜炎 |
足裏の膜に炎症が起きている |
かかとの骨の前あたりが痛む |
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冷え・血行不良 |
筋肉が硬直し、柔軟性が低下する |
冬場や冷房下で悪化する |
女性ホルモンの減少が腱を硬くする
更年期に入ると、女性らしさを守るホルモンである「エストロゲン」の分泌が急激に減少しますが、これがかかとの痛みの大きな引き金となります。エストロゲンには、肌や血管だけでなく、腱や関節をしなやかに保つコラーゲンの生成を助ける働きがあるためです。このホルモンが減ってしまうと、アキレス腱や足の裏にある足底腱膜(そくていけんまく)の水分量が減り、古くなったゴムのように硬く脆くなってしまいます。その結果、歩くたびにかかる衝撃を吸収しきれなくなり、組織に小さな傷がついて痛みが発生するのです。
体重の増加が足裏への負担を招く
更年期は代謝が落ちるため、食事量を変えていなくても体重が増えやすい時期でもあります。体重が1キロ増えると、歩行時に足にかかる負担はその数倍にもなると言われており、足裏へのダメージは想像以上に大きくなります。特に、エストロゲンの減少ですでに柔軟性を失っているかかとの組織に対して、増加した体重が重石のようにのしかかることで、炎症が起きやすい状態になります。運動不足でふくらはぎの筋力が低下していると、衝撃を筋肉で受け止められず、かかとの骨や腱に直接負担がかかってしまうことも痛みを悪化させる要因です。
足底腱膜炎という病気の可能性
更年期のかかとの痛みの正体として最も多いのが、「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」と呼ばれる症状です。これは、かかとの骨から足の指の付け根に向かって扇状に広がっている「足底腱膜」という膜が炎症を起こしている状態を指します。典型的な症状は、朝起きて最初の一歩目が激しく痛む「モーニングペイン」ですが、動き始めると少し楽になり、夕方や長時間歩いた後に再び痛みがぶり返すという特徴があります。更年期の女性は前述したホルモンバランスの変化と体重増加のダブルパンチを受けるため、この足底腱膜炎を発症するリスクが非常に高くなっているのです。
【関連記事】足底筋膜炎になるのはなぜ?原因と予防方法を解説|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
病院は何科を受診すべき?判断の目安
痛みが続くと「病院に行ったほうがいいのかな?」と考えますが、整形外科に行くべきか、それとも更年期の相談として婦人科に行くべきか迷うことがあるかもしれません。適切な診療科を選ぶことは、早期回復への第一歩です。ご自身の症状がどこに当てはまるか、以下の判断基準の表を参考にしながら検討してみてください。
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診療科 |
受診をおすすめするケース |
期待できる対応 |
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整形外科 |
足の痛みが強く、歩行に支障がある場合 |
レントゲン診断、湿布処方、リハビリ |
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婦人科 |
ホットフラッシュなど他の不調も強い場合 |
ホルモン治療、漢方薬処方 |
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リウマチ科 |
手指のこわばりや関節の腫れがある場合 |
血液検査、免疫抑制療法 |
足の痛みが強いならまずは整形外科へ
基本的に「かかとが痛い」という症状がメインであれば、まずは整形外科を受診することをおすすめします。整形外科ではレントゲン撮影や超音波検査を行うことで、骨に異常がないか、足底腱膜炎であるか、あるいは「踵骨棘(しょうこつきょく)」というかかとの骨のトゲができていないかを正確に診断できるからです。痛みの原因が物理的な炎症や骨の異常にある場合、専門的な装具療法や消炎鎮鎮剤による治療が必要になりますし、他の深刻な足の病気を除外するためにも、まずは骨と筋肉の専門家に診てもらうのが確実です。
全身の不調もあれば婦人科を検討する
かかとの痛みだけでなく、のぼせや発汗、イライラ、不眠といった典型的な更年期症状がつらい場合は、婦人科を受診するのも一つの選択肢です。婦人科では、減少した女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)や、体質に合わせた漢方薬の処方などを行ってくれます。全身のホルモンバランスが整うことで、結果的に腱や関節の柔軟性が改善し、かかとの痛みが和らぐケースも少なくありません。もし整形外科で「骨には異常がない」と言われたけれど痛みが続くという場合は、ホルモンバランスの影響を疑って婦人科に相談してみると良い解決策が見つかることがあります。
【関連記事】足の裏が熱い!眠れないときの対処法と予防法|コラム「足のちえぶくろ」|ケアソク(CARE:SOKU)|株式会社山忠
リウマチなど他の病気との見分け方
更年期の関節痛と似た症状が出る病気に「関節リウマチ」がありますが、これを見分けることも重要です。リウマチの場合は、かかとだけでなく、手首や指の関節など全身の複数の箇所に痛みや腫れが出ることが多く、特に朝起きたときに手がこわばって動かしにくいという特徴があります。もし、かかとの痛み以外に手のこわばりを感じたり、関節が熱を持って腫れているような感覚がある場合は、整形外科の中でもリウマチ専門医がいる病院を受診するか、内科で血液検査を受けることを検討してください。早期に発見できれば、薬で進行を抑えることが可能です。
今すぐできる!痛みを和らげるセルフケア
病院に行く時間がない場合や、治療と並行して自分でも何かしたいという方のために、自宅で簡単にできるセルフケアをご紹介します。足の痛みは毎日の積み重ねで改善していくものです。生活の中に取り入れやすい対策を以下の表にまとめましたので、できることから始めてみてください。
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ケアの種類 |
具体的なアクション |
実施のタイミング |
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ストレッチ |
アキレス腱と足裏をゆっくり伸ばす |
起床時、入浴後 |
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履き物対策 |
インソールを活用し、裸足を避ける |
外出時、室内移動時 |
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温めケア |
足首ウォーマーや入浴で保温する |
就寝時、リラックスタイム |
足裏とアキレス腱を伸ばすストレッチ
硬くなった足底腱膜とアキレス腱を柔軟にすることが、痛みの緩和には最も効果的です。特に朝一番の痛みを防ぐために、ベッドの中で目が覚めたら、起き上がる前に足首を前後にゆっくり動かしたり、手で足の指を反らせて足裏を伸ばしたりする予備運動を行ってみてください。また、壁に向かって立ち、痛いほうの足を後ろに引いてアキレス腱を伸ばす「壁押しストレッチ」も有効です。ただし、痛みが激しいときに無理に伸ばすと逆効果になることがあるため、「痛気持ちいい」と感じる範囲で、反動をつけずにじっくりと伸ばすのがポイントです。
クッション性の高い靴やインソールを選ぶ
かかとへの衝撃を物理的に減らすことも非常に重要ですので、靴選びを見直してみましょう。底が薄いペタンコの靴やバレエシューズは、地面からの衝撃がダイレクトにかかとに伝わってしまうため、更年期の足にはあまり適していません。適度な厚みとクッション性があり、かかとをしっかり包み込んでくれるスニーカーやウォーキングシューズを選ぶのが正解です。また、今履いている靴に、土踏まずのアーチを支えるタイプのインソール(中敷き)を入れるだけでも、足裏にかかる負担が分散され、歩行時の痛みが驚くほど楽になることがあります。室内でもフローリングを裸足で歩くと衝撃が強いため、底が厚めのスリッパを履くことをおすすめします。
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足首を温めて血流を改善する
冷えは痛みを増強させる大敵ですので、足元を常に温かく保つことを意識してください。足首には血管や神経が集中しているため、ここを温めることで足全体の血流が良くなり、硬くなった筋肉や腱がほぐれやすくなります。夏場であっても冷房の効いた部屋ではレッグウォーマーや靴下を着用し、足首を冷やさないように心がけましょう。夜はシャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かって全身を温めることで、副交感神経が優位になり、痛みの感覚を和らげる効果も期待できます。
科学的な保温効果のエビデンスがあるケアソクの〈あたためる〉シリーズは履くだけで足をしっかりと保温し、つらい冷えから足裏全体を守ってくれます。足元が温まると筋肉が柔らかくなり、歩くときのかかとの負担も自然と和らぎます。お部屋で過ごす時間には、足全体を包むおうち用のロング丈靴下などを活用してみてください。痛みを我慢せずに足元を温める工夫を取り入れ、快適な毎日を過ごしていきましょう。
薬や漢方薬で内側から改善する方法
セルフケアだけでは痛みが引かない場合、薬や漢方薬の力を借りることで、より効率的に症状を改善できる可能性があります。ここでは、西洋医学的な薬の使い方から、東洋医学的なアプローチ、そして近年注目されているサプリメントまで、体の内側から働きかける方法もあります。詳しくは専門医に相談することをおすすめします。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
- 更年期のかかとの痛みは、女性ホルモンの減少による腱の硬化や体重増加、足底腱膜炎が主な原因。
- 痛みが強ければ整形外科で診断を受け、更年期症状が辛ければ婦人科を受診する。
- アキレス腱のストレッチやクッション性の高い靴選び、足元の保温といったセルフケアを継続することで、痛みが和らぐ。
かかとの痛みは「歳のせいだから」と諦める必要はありません。原因を正しく理解し、自分の体に合ったケアを取り入れることで、痛みはコントロールできます。まずは今日から、お風呂上がりのストレッチや靴の見直しなど、できることから始めて、軽やかな足取りを取り戻しましょう。
更年期特有のつらいかかとの痛みを、独自のクッションでやさしく守る〈ケアソク〉は、足の健康を保つためのフットヘルスウェアです。足の専門家と共同開発し、科学的なエビデンスのある“新しい概念の靴下”をぜひお試しください。
- ケアソク〈ととのえる〉の研究開発者インタビュー
- 足のアーチをサポートし、足指を正しい位置に誘導・配置する五本指靴下
- 更年期の冷え予防にも。風呂上がりのあたたかさをキープ
記事監修
北澤 友子(きたざわ ともこ)
理学療法士
保健学修士
シックネイルケアセラピスト
新潟医療福祉大学大学院修了後、同大学の非常勤講師を担当しながら、リハビリの臨床現場をメインに活躍中。足・靴下・歩行に関する研究を学会にて多数発表。介護予防・健康増進など自治体の健康事業にも携わる。
【学術論文、研究発表】
前足部内外面に滑り止めを有した靴下が歩行時のクリアランスに及ぼす影響,"北澤 友子(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科), 阿部 薫, 伊藤 菜記",靴の医学(0915-5015)31巻1号 Page83(2017.08),会議録
転倒防止と屋内移動効率の向上を目指した滑り止め構造を有する靴下の開発,"北澤 友子(らぽーる新潟ゆきよしクリニック), 阿部 薫, 笹本 嘉朝, 後藤 可奈子, 中林 功一, 中林 知宏, 亀山 貴司",The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(1881-3526)JARM2016 Page I397(2016.06),会議録
ほか
著者
株式会社 山忠
公式サイト


